2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物葉緑体でのモノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼによるアスコルビン酸再生
Project/Area Number |
12780479
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
佐野 智 京都府立大学, 農学部, 助手 (10311911)
|
Keywords | アスコルビン酸 / モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ / 葉緑体 / cDNA / ホウレンソウ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
(1)ホウレンソウ葉緑体モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼcDNAの単離 単離したホウレンソウ無傷葉緑体からモノデヒドロアスコルビン酸(MDA)レダクターゼを精製した。この精製の各ステップでのカラムの溶出プロフィールを参考にして、葉肉細胞から直接葉緑体型MDAレダクターゼを大量に精製し、N末端のアミノ酸配列を決定した。この配列を元にプライマーを設計し、ホウレンソウ子葉から単離したRNAを用いて、葉緑体型MDAレダクターゼのcDNAを得ることに成功した。 (2)シロイヌナズナのオルガネラ型MDAレダクターゼのcDNA シロイヌナズナEST(expression sequencing tag)クローンの中にMDAレダクターゼのN末端アミノ酸配列と相同性の高い配列をコードするものを数種見つけ出した。これらのうちの一つはオルガネラへの移行シグナルであるトランジット配列と思われる部分をコードしていた。緑色螢光タンパク質のN末端にこのクローンのトランジット配列を融合させたタンパク質をタバコ葉肉細胞プロトプラストで発現させると、葉緑体およびミトコンドリアへ移行した。シロイヌナズナの全ゲノム配列内にはトランジット配列を持つMDAレダクターゼ遺伝子が一つしかなく、その配列はここで得られたクローンと同じである。実際の細胞内でもおそらくここで単離した遺伝子の産物が、葉緑体とミトコンドリアの両方に移行しているものと考えられる。 (3)形質転換植物の作出 かずさDNA研究所のシロイヌナズナタグライン共同システムに参加し、(2)で単離したオルガネラ型MDAレダクターゼ遺伝子が破壊されたシロイヌナズナをスクリーニングした。 また、葉緑体のMDAレダクターゼの発現量だけを変化させる目的で、ホウレンソウのcDNAを用いて形質転換植物を作出することとした。現在、アグロバクテリウム法で導入するためのベクターを作成中である。
|