2000 Fiscal Year Annual Research Report
酵素のDNA配列特異性を変換する分子シャペロンの役割
Project/Area Number |
12780483
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水村 光 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 基礎科学特別研究員 (40321822)
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Keywords | ミトコンドリア / エンドヌクレアーゼ / 分子シャペロン / 70kDa熱ショック蛋白質 / DNA塩基配列特異性 |
Research Abstract |
酵母ミトコンドリアのエンドヌクレアーゼEndo.SceIは触媒サブユニットの50Kとミトコンドリアの70kDa熱ショック蛋白質(mtHSP70)からなるヘテロ二量体である.精製50Kは単独で配列特異性の厳密な26塩基認識のDNA切断活性を持つが,mtHSP70との複合体形成で厳密な特異性がゆるみ,単量体では切断しないDNA配列も切断できるように変化する.mtHSP70は分子シャペロンとして,他の蛋白質に一時的に結合して折りたたみ等を助ける事が知られている.Endo.SceIヘテロ二量体のようにHSP70が安定に結合したままパートナー蛋白質の活性を変換させる例は他に報告がなく,50Kが他の蛋白質とは異なる特徴を持つ事が予想された. 今年度は50K独特の特徴を見つけるために,50Kの機能上の領域決定を以下の様に行った. (1)アミノ酸配列特異的なプロテアーゼの限定分解で,50Kを構造上3つの領域に分割した. (2)大腸菌で組換え体を発現させ,断片化50Kの精製標品を得た.(3)50K(476アミノ酸残基)のC末端側273アミノ酸残基のみでも,50K単量体と同様な配列特異性の厳密なDNA切断活性を保持した.(4)50K-C末端ではmtHSP70との結合とDNA配列特異性の変換は起こらなかった.(5)50K-C末端はホーミングエンドヌクレアーゼと呼ばれる蛋白質群と大きさやアミノ酸配列に相同性がみられた.ホーミングエンドヌクレアーゼは100種類以上,全てが配列特異性の厳密な単量体酵素として報告されている.(6)50K-N末端側203アミノ酸残基は既知の蛋白質とは相同性が見られなかった. 以上の知見から元来ホーミングエンドヌクレアーゼであった50K-Cに融合したN末端側203残基がmtHSP70との結合と配列特異性の変換に重要な働きを持つと予想している.
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