2000 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞におけるクロマチン構造を介した遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
12780484
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
奥脇 暢 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 基礎科学特別研究員 (50322699)
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Keywords | クロマチン / アデノウイルス / 転写 / 複製 / 核小体 / リボソーム |
Research Abstract |
遺伝子の発現、あるいはゲノムDNAの複製は細胞内において厳密に制御されている。この制御機構の一翼を担うのがクロマチン構造である。転写や複製の開始にはそれ以前にクロマチン構造の変換が必要で、それによって転写や複製に関わる因子がDNA上に結合しやすくなる。しかしどのような機構によりクロマチン構造が変換し、転写・複製がおこるかに関してはほとんどわかっていない。そこで、本研究ではクロマチンを鋳型とした転写や複製の制御機構を解明することを目的として研究を進めている。そのモデル鋳型クロマチンとして、アデノウイルスクロマチンを用いている。ウイルスクロマチンは細胞のクロマチン同様、クロマチン構造の変換なしには転写・複製の鋳型としては機能しない。ウイルスクロマチン構造を変換する因子としてTemplate Activating Factor (TAF)-Iがすでに同定されており、その機能解析が行われている。さらに、ウイルスクロマチンの構造を変換し複製を促進する活性を指標として非感染細胞の細胞抽出液を分画することによって、さらにTAF-II及びTAF-IIIを同定・精製することに成功した。TAF-IIは既にクロマチン再構成を促進する因子として同定されていた、NAP-Iと同一でり、TAF-IIIは核小体タンパク質を主要構成成分とするタンパク質複合体であった。TAF-IIIはTAF-I、TAF-II同様に試験管内において、クロマチン構造を緩めるばかりでなく、逆にクロマチン構造を形成させる活性ももっていた。核小体はリボソームRNAの合成の場であり、TAF-IIIはリボソームRNAの合成を、クロマチンレベルで制御している可能性が示唆される。
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