2000 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質のレアイベントに対する準平衡論的分子シミュレーション法の開発
Project/Area Number |
12780488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池口 満徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60261955)
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Keywords | 蛋白質 / 分子動力学 / 並列計算 / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛋白質の構造変化のような、現実にはミリ秒以上かかる蛋白質のレアイベントを捉えることのできる分子シミュレーション法の開発である。通常の分子動力学法などの分子シミュレーション法では、長くても数ns程度の座標履歴を計算できる程度で、蛋白質の機能と関わるゆっくりとした動きを追うことは困難である。このような困難を解決するための方法論の研究として、(1)実時間のサンプリングでなく、人工的に幅広い構造空間をサンプリングするための拡張アンサンブル法を用い、(2)大量計算の効率化のため、近年のスーパーコンピュータの潮流である超並列計算機の有効利用を考慮した分子シミュレーションシステムの開発を行った。拡張アンサンブル法として、多数の分子シミュレーションの結果を統計誤差最小になるように重ね合わせることで自由エネルギーランドスケープを得ることのできるWeighted Histogram Analysis Method(WHAM)と、分子種の違いに対応する自由エネルギー変化を精度よく求めることのできるλダイナミクス法を組み合わせた分子シミュレーションシステムを開発した。一方、これらの方法では、大量の計算を必要とする。その計算のためには、近年発展した超並列型計算機の効率的な利用が重要であるが、そのためには、多数の演算器の負荷を分散し、通信を最適化する仕組みを構築する必要がある。本研究では、情報科学的手法を用いて動的負荷分散機能を有するライブラリを開発し、それを分子動力学シミュレーションシステムに応用することで、この問題の解決を図った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Ikeguchi,S.Nakamura,K.Shimizu: "Molecular Dynamics Study on Hydrophobic Effects in Aqueous Urea Solutions"Journal of American Chemical Society. 123. 667-681 (2001)
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[Publications] M.Sekijima,S.Takasaki,S.Nakamura,M.Ikeguchi,K.Shimizu: "A Parallel Programming Environment with Dependence-Driven Task Scheduling in Distributed-Memory Multiprocessor Systems"Proceedings of the ISCA 13th International Conference PDCS. 348-354 (2000)
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[Publications] S.Takasaki,M.Sekijima,S.Nakamura,M.Ikeguchi,K.Shimizu: "Scheduling Policy and Mechanism of Parsley, A Parallel Programming Environment"Proceedings of 12th IASTED International Conference PDCS. 605-610 (2000)
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[Publications] 関嶋政和,高崎慎也,中村周吾,池口満徳,清水謙多郎: "サブタスク間の依存関係に基づくスケジューリング機構を備えた並列プログラミング環境の開発"情報処理学会論文誌プログラミング. 41・SIG2(PRO6). 65-77 (2000)