2000 Fiscal Year Annual Research Report
光受容蛋白質分子の性質と視細胞の応答物性の関係の解明
Project/Area Number |
12780493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 啓雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60314176)
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Keywords | 昼間視 / 薄明視 / 光受容 / 蛋白質 / ロドプシン / 桿体 / 錐体 / ES細胞 |
Research Abstract |
昼間視と薄明視を担う二種類の視細胞、錐体と桿体の光受容蛋白質の機能的性質(メタII中間体の寿命、再生速度)の違いがどのような機構によって生み出されるのか検討した。また、視物質分子の性質が、視細胞の応答特性にどのように寄与しているか検討するため、部位特異的変異視物質を発現するマウスモデルを作製した。 その結果、以下の成果が得られた。 (1) 蛋白質内部の環境を直接モニターできる赤外分光法により、ニワトリの赤色および緑色感受性錐体光受容蛋白質の構造変化過程におけるアミノ酸残基の環境変化過程を検討した。その結果、第2細胞外ループに存在し、錐体光受容蛋白質で高度に保存されているプロリン残基(P189)の環境変化を観測することができた。また、このプロリン残基が昼間視という錐体の生理機能に大きく関わっているアミノ酸残基であることを見いだすことができた。桿体錐体光受容蛋白質ロドプシンのX線結晶構造によると、この部位は発色団(リガンド)を包み隠すようにβシート構造を形成しているが、本研究成果により、この部位が中間体生成と共に構造変化を起こす事がわかった。 (2) 錐体と桿体の光受容蛋白質の機能的性質(メタII中間体の寿命、再生速度)を決定している部位(E122)を改変した変異ロドプシンを持つマウスを作製した。方法としては、副次的効果を極力抑えるため、野生型のロドプシンの遺伝子座を変異体に入れ替えて薬剤選別マーカーを導入したES細胞をまず作製し、それをもとに変異マウスを作製するノックインの手法を用いた。網膜から光受容蛋白質を抽出し、吸収スペクトルを測定した結果、このマウスは確かに変異ロドプシンを発現し、その発現量も野生型と変わらないことがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Imai: "Difference in Molecular Structure of Rod and Cone Visual Pigments Studied by Fourier Transform Infrared Spectroscopy."Biochemistry. 40. 2879-2886 (2001)
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[Publications] T.Hirano: "Chloride Effect on Iodopsin Studied by Low-Temperature Visible and Infrared Spectroscopies"Biochemistry. 40. 1385-1392 (2001)
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[Publications] A.Nakamura: "Regulatory Mechanism for the Stability of the Meta II Intermediate of Pinopsin"J.Biochem (Tokyo). 129. 327-332 (2001)
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[Publications] B.Borhan: "Movement of Retinal Along the Visual Transduction Path."Science. 288. 2209-2212 (2000)
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[Publications] H.Imai: "Analysis of Amino Acid Residues in Rhodopsin and Cone Visual Pigments that Determine their Molecular Properties.(in Methods in Enzymology 315,pp293-312)"Academic Press.(分担執筆). 959 (2000)
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[Publications] Y.Shichida: "Heterogeniety of Rhodopsin Intermediate State Interacting with Transducin. (in Methods in Enzymology 315,pp347-363)"Academic Press.(分担執筆). 959 (2000)