2001 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力環境などのストレスが生体システムに与える影響の理論的解析
Project/Area Number |
12780500
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 裕彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (90253400)
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Keywords | 微小重力環境 / シュレーディンガーの猫 / 確率的最適化技法 / パルト解 / 脊椎動物 / 場と行為者 / 保存量 / 重力と解析接続 |
Research Abstract |
微小重力環境においては、どの生物もその後生過程にストレスを被ることが知られています。可変パラメータとして重力の効果を明示的に評価できる環境に多世代おかれた結果としてその体制に現れる(必要条件/十分条件としての)形質について数理モデルを用いて調べました。 遺伝的アルゴリズムに代表される確率的最適化技法によってシステムを構成しようというアプローチは、発生現象のように、システムの構成要素がある程度明らかになり、しかも入出力の制約を満たす解がパレト解(ある保存量が一定値をとる面)上に分布しているような対象の進化を調べる際に有用である。実働時の因果関係や、相互作用を再現することによって、対象の持つ性質・特性の明快な理解が可能になる. この技法をその体制に「重力に対応する内骨格および造血系と自己非自己認識を行う獲得免疫系」を持つ「脊椎動物」に適用した。水棲から陸棲へと移行した体制構築、細胞間情報伝達、蛋白間相互作用のaffinityなどの柔軟な制御の総合を、可変な結合を持つネットワークで表し、移行に伴う胚のパレト解の変化を、体制構築の場における異時性と胸線教育の場における多様性という二つの保存量を定義することにより、実装する。 保存量1:異時性Heterochrony 胚の運命決定点は空間において位置情報の連続性を保ちつつ、時をずらすことによって十分な機能的複雑さを実現するように分布する。 保存量2:多様性Diversity 胚の獲得免疫系は抗原の圧倒的な多様性に逆接続を行い、自己非自己を適切に見極めるように構築される。 この時かかわる二体間相互作用には「場」と「行為者」という非対称性が伴い、細胞集団として一定値をとる保存量が「どちらに片寄って現れるかは分からない」という意味で観測における不確定性が期待され、遺伝子ネットワークの問題を、各個体内で定義した相互作用の枠組みの上で、葉曲の存続をその生活史に則った階層的淘汰過程によってモデリングし、追跡を行ったとき観測される傾向(predisposition)として定式化することによりこれに事後確率としての予測を与えることができます。 微小重力環境から通常重力環境への多世代再生に基づく脊椎動物の体制構築を中胚葉->神経堤->骨髄造血->獲得免疫系各細胞集団の付加を介した解析接続として捉えることにより、系全体に対する一意的な眺望を「健康を正しく保持する」という設計の実現として理解することができる。
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