2001 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通型タンパク質のNMR構造解析法の開発 -異方的構造情報の抽出-
Project/Area Number |
12780503
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊地 淳 理化学研究所, 基本構造解析研究チーム・リサーチアソシエイト(研究職) (00321753)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 磁場配向 / 脂質2重膜 / 残余双極子カップリング / 回転緩和異方性 / 立体構造予測 |
Research Abstract |
1)異方的構造情報を駆使したタンパク質立体構造計算法の検討 2つの構造的に独立なドメインからなるタンパク質のドメイン間相対配置について,異方的構造情報を駆使して立体構造を決定できることを示すことができ,国際学術誌に投稿が認められた.特に通常の水溶性タンパク質では扱いが困難な回転緩和異方性情報については,後述2,3)に示すような異方的分子形状を有する膜に結合させれば極めて有用であると期待できる.また,ワシントン大学のBaker博士との共同研究により,経験的立体構造予測法を導入し,配向情報のみで代表的なタンパク質のグローバルフォールドが決定できることがわかった. 2)膜結合型両親媒性ペプチドのバイセルへの結合 長,短鎖のリン脂質の割合をコントロールすることにより比較的超分子サイズの小さなバイセルを作成し,良く研究された両親媒性ペプチドであるメリチン結合させて高分解能のHSQC, NOESYシグナルを観測できることに成功した.現在国際学術誌への論文を作成中である. 3)膜結合型タンパク質を配向させるための新規磁場配向二重膜の開発 前述2)のバイセルは化学的に不安定であることが大きな問題である.短鎖部分を中性界面活性剤に置換した"ゲル状ミセル"によるタンパク質の磁場配向実験を試したところ,極めて広いpH,温度範囲で安定な2重膜を作成できた. 4)光合成系膜タンパク質の光受容反応を追跡するための装置組み立てと初期的実験検討 上述の各技術は,光合成系膜タンパク質の光受容反応追跡に応用したいと考えている.まず,2mm口径の光ファイバーを直接NMR試料管に注入し,NMR磁場内で光照射実験をできる装置を組み立てた.また,約1000kDaの巨大膜タンパク質の^<15>Nラベル体を調整し,そのTROSYスペクトルを測定したところ,表層残基は追跡できることがわかった.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kikuchi, J., Iwahara, J., Kigawa, T., Murakami, Y., Okazaki, T., Yokoyama: "Solution structure determination of the Shizosaccharomices pombe Abpl protein by a combination of dipolar coupling and diffusion anisotropy restraints"Journal of Biomolecular NMR. (印刷中). (2002)
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[Publications] Nakatani K., Sando, K., Kumasawa, H., Kikuchi, J., Saito, I.: "Recognition of Guanine-Guanine Mismatches by the Dimeric Form of 2-Amino-1, 8-naphthyridine"Journal of American Chemical Society. 123. 12650-12657 (2001)
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[Publications] 畠中秀樹, 小柴生造, 菊地淳, 木川隆則: "タンパク質のHigh-throughput NMR構造解析と新たな展開"蛋白質核酸酵素. (印刷中). (2002)