2000 Fiscal Year Annual Research Report
尾索動物ミトコンドリアゲノムの転写パターンと遺伝子構造の進化の解析
Project/Area Number |
12780517
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
横堀 伸一 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (40291702)
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Keywords | 尾索動物 / ミトコンドリアゲノム / 遺伝子構造 |
Research Abstract |
尾索動物の、ユウレイボヤCiona savignyi(被嚢綱腸性目)ミトコンドリア(mt)ゲノムの全塩基配列14,737塩基対を決定した。そのゲノム構造はマボヤHalocynthia roretzi(被嚢綱壁性目)と大きく異なっており、他のいかなる後生動物mtゲノムの遺伝子構造と特異的な類似性は見られなかった。また、Ciona mtゲノムは、Halocynthia mtゲノムがコードしていないtRNA^<Met>_<CAT>遺伝子をコードしていた。また、分子進化学的解析より、他の後口動物mt遺伝子と比較して、Ciona mt遺伝子の進化速度はHalocynthia mt遺伝子の進化速度と同様に早くなっていることから、ゲノム構造の進化"速度"と、一次配列の進化速度との間に相関があることが推定された。また、Ciona mtDNAとHalocynthia mtDNAの非コード領域間に明白な配列相同性や類似した2次構造を取り得る配列も見いだされなかったので、両者の転写や複製の開始点などの推定はできなかった。また、被嚢綱とは別の綱(タリア綱等)に属する尾索動物についてもmtDNAの配列の解析を開始したが、そのゲノム構造は、他の後生動物のグループ(門レベル)には類を見ない多様性を示すことが示唆された。Halocynthiaについて、数種のmt-RNAについて3'-RACE等の実験を行った。その結果、mRNAの3'末端の位置は分子によって異なる場合があり、転写後のprocessingなどのプロセスが、単純なtRNA punctuation modelに従ったtRNA領域を標的としたprocessingのみでは理解するのが難しいことが示唆された。
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Research Products
(1 results)