2000 Fiscal Year Annual Research Report
損傷ヌクレオチド(DNA前駆体)分解酵素MTH1の基質認識機構の解明
Project/Area Number |
12780518
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
紙谷 浩之 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10204629)
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Keywords | MTH1蛋白質 / 損傷ヌクレオチド / 基質認識 |
Research Abstract |
損傷ヌクレオチド分解酵素である、ヒトMTH1蛋白質の3種類の基質(8-hydroxy-dGTP、2-hydroxy-dATP、8-hydroxy-dATP)には、三者に共通の官能基が存在しておらず、MTH1蛋白質がこれら3種類の基質をどのように認識しているかに興味が持たれる。本研究では、合成修飾ヌクレオチドを用いるMTH1蛋白質の基質認識機構の解明を試みることを目的として開始された。今年度は、糖部、塩基部に修飾を有する様々なヌクレオチドを化学合成し、MTH1蛋白質の基質となるか否かを予備的に調べた。 糖部修飾ヌクレオチドとして、デオキシリボースをリボースに変換した、8-hydroxy-rGTP、2-hydroxy-rATP、8-hydroxy-rATPを、rGTPやrATPの酸化反応により合成した。また、水素結合のacceptor、donorの必要性を調べるために、塩基部修飾ヌクレオチドとして、iso-dlTPやdeoxyoxanosine5′-triphosphate、deoxyxanthosine5′-triphosphateを合成した。 ヒトMTH1蛋白質とインキュベートしたところ、8-hydroxy-rGTP、2-hydroxy-rATP、8-hydroxy-rATPの中で、2-hydroxy-rATPが効率良く分解された。一方、8-hydroxy-rGTPと8-hydroxy-rATPはほとんど分解されなかった。2-hydroxy-rATPの分解は、最初に見い出された基質である、8-hydroxy-dGTPの分解と同程度であり、2-hydroxy-dATPの分解の約半分であった。
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