2001 Fiscal Year Annual Research Report
二重鎖切断の修復法選択と減数分裂期の二重鎖切断導入機構の解明
Project/Area Number |
12780524
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古瀬 宗則 理化学研究所, 染色体動態制御研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (50321807)
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Keywords | 減数分裂 / 二重鎖切断 / クロマチン構造変化 |
Research Abstract |
減数分裂期の組換えはDNA二重鎖切断によって開始され、10種類以上の遺伝子が関与する複雑に制御された反応である。切断部位近傍では、切断に先行してMNaseによる感受性の増大が観察され、クロマチンの局所的な構造変化が起こることを示している。クロマチン構造を変化させた主因の1つがMre11で、体細胞分裂時には不要なC端の領域(49アミノ酸)を除くと、切断前の構造変化および二重鎖切断は起こらなくなる。二重鎖切断及び修復に関与する遺伝子の欠損株を作成し、解析した結果、二重鎖切断に必要な減数分裂特異的なMEI4、REC107や、切断末端の加工に必要なSAE2の各欠損株では構造変化が起こることを明らかにした。一方、MRE2、MRE11、REC102、REC104、REC114、SPO11の各欠損株ではクロマチンの構造変化が観察されなくなり、これらの遺伝子産物はMre11と共に前二重鎖切断複合体を形成する核となるものと、それらを減数分裂期に活性化する調節因子の可能性が考えられる。以上の結果から、減数分裂期のMNase上昇で見られる構造変化は、直接の切断因子のSpo11を呼び込むためにクロマチン構造を緩ませると言うよりは、Spo11をはじめとした複数の因子がMre11のC端領域を介して複合体を形成する過程を表すものである可能性が示唆された。これらの因子群は、酵母中で減数分裂の特定期に一過的に結合し、通常の酵母を用いた2-hybrid法では内在する蛋白質を介した結合の可能性が無視できない。そこで蛋白質間の直接的な相互作用を解析するために、大腸菌の2-hybrid法を用いて結合する因子のそれぞれを特定中である。 一方、ヒトの癌組織より単離されたMRE11ホモログに突然変異の生じているものがあり、対応するアミノ酸を置換することによって異なった表現型を示す出芽酵母MRE11変異株を得た。
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