2000 Fiscal Year Annual Research Report
Fアクチンカラム法による細胞骨格の空間的制御機構に関与するタンパク質の探索
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12780532
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺崎 朝子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科・生命資源科学専攻, 助手 (30311616)
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Keywords | 細胞骨格 / アクチン結合タンパク質 / Fアクチンカラム法 / 培養細胞 / 空間的制御機構 / アミノ酸配列解析 |
Research Abstract |
本研究は薬剤が特定の細胞骨格の変化を誘発する例があること、温度感受性培養細胞でも構造の制御が可能である事に着目し、これら細胞の抽出液をFアクチンカラム法(*)で解析し、構造変化に連動してアクチンに対する活性の変動するタンパク質を探索する事を目的としている。 *Fアクチンをリガンドとするアフィニティカラム法で、細胞や組織の抽出液から直接アクチン結合タンパク質を回収し、抗体作成・アミノ酸解析・リン酸化状態の解析などに用いる。 まず、アクチン結合タンパク質を多く含むニワトリ砂嚢平滑筋で条件を検討したところ、既知のアクチン結合タンパク質だけでなく、avEna(ショウジョウバエenaホモログ)、cgABP260(新規ABP-280類似タンパク質)などアクチンとの関連が推定されていた新規タンパク質も結合する事が明らかとなった。また、tropomyosinでカラムをあらかじめ飽和させたところ、アクチン結合に関して競合関係にあるfilaminが結合しなくなり、競合しないcaldesmonは結合したことから抽出液の状態でもtropomyosinとの競合を推定出来る事が分かった。 次に培養細胞の条件に近づけるために、非筋組織由来である脳サンプルを解析した。既知のアクチン結合タンパク質の抗体に反応しないバンドのアミノ酸解析を試みたところ、近年シグナルと細胞骨格の橋渡し役とされているArp 2/3 complexのニワトリホモログが初めて同定された。ホモロジーの無い配列もいくつか同定された。 さらに細胞周期が同調出来るマウス由来の温度感受性培養細胞tsFT210株でも既知のアクチン結合タンパク質だけでなく、多くのバンドが溶出画分に見られ、このカラムが培養細胞の解析にも有効である事が確認出来た。 今後は条件の検討をしながら、アミノ酸シークエンスに必要なサンプル量を集めるように工夫し、細胞周期を同調させた細胞や抗生物質で処理した細胞を解析したい。特に新規タンパク質と思われるものは抗体作製、アミノ酸配列解析、およびcDNAクローニングを進める予定である。
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