2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経特異的アクチン結合分子Clipin Cと神経細胞機能解析
Project/Area Number |
12780537
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武内 恒成 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90206946)
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Keywords | 細胞骨格 / 神経細胞 / 細胞接着 / Rac / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
神経回路網形成は、細胞が神経突起を伸長しシナプスを形成することで複雑なネットワークを形成することから始まる。この理解のためには、神経細胞の移動や神経突起伸長を制御する細胞接着機構と細胞骨格アクチンの動的制御機構を知ることは重要な課題である。我々は、神経細胞の免疫グロプリンスーパーファミリー接着分子と当初その裏打ち分子として同定したclipinCの機能解析、またこれらの生化学的分子解析と構造解析に向けた蛋白質大量生産系の構築を進め、平成13年度は以下のような成果を得た。 1)神経特異的アクチン結合蛋白質clipinCはWD40ドメインとC末側のαヘリックス構造からなる分子である。我々はこの分子の機能解析のために結合分子の検索を進め、NADPHオキシダーゼ活性化のアダプター分子の一つp40^<phox>が結合することをすでに見いだしている。今年度、この結合領域の検討を進め、p40^<phox>のPCドメインがclipinCのWD40ドメインと結合することが明らかとなった。また、このp40^<phox>をはじめとするp47^<phox>・p67^<phox>を介してRacのシグナルがclipinCに伝わり、アクチン骨格制御に関わることを示した。さらに、 p40^<phox>・p47^<phox>・p67^<phox>分子群が確かに神経系組織にも発現し、clipinCと共局在することを免疫組織化学等で見いだした。 2)構造解析および蛋白質機能解析のため、バキュロウイルスを上回る大量蛋白質産生が可能なカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)を用いた発現系を導入している。我々は今までに8種類の蛋白質で発現に成功しているが、今年度、神経接着分子NCAMについて天然型だけでなく、糖鎖修飾領域を変異した分子の発現を行い、この系における昆虫型糖鎖修飾が哺乳類における糖鎖修飾といかに異なるかの解析を行った。さらに、いままで幼虫を用いた発現を進めてきたが、今年度から蛹(さなぎ)を用いても感染・発現が可能であることを見いだし、より簡易かつ蛋白質の精製の容易な系の確立を進めることが出来た。
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Research Products
(1 results)