2000 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞仮足においてアクチン繊維伸長を制御する因子群の機能解析
Project/Area Number |
12780540
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 裕之 九州工業大学, 情報工学部, 文部科学教官助手 (80274562)
|
Keywords | アクチン / 細胞骨格 / WASP / WAVE / Ena / VASP / Mena / lamellipodia / microspike |
Research Abstract |
細胞表層のアクチン細胞骨格構造の制御には、低分子量Gタンパク質RhoファミリーのRacとCdc42が関与している。これまでにそれらの下流で、WASPファミリーやEna/VASPファミリーのタンパク質がアクチン細胞骨格に作用していることが報告されている。しかし、それらのタンパク質が細胞内で果たしている機能の差異は明らかにされていない。そこで、WASPファミリーに属するN-WASPとWAVEおよびEna/VASPファミリーに属するMenaのラメリポーディアにおける局在を解析した。 ラット胚由来の3Y1細胞は、ポリ-L-リジン処理したカバーガラス等に接着すると細胞の周囲にラメリポーディアを形成する。そのような3Y1細胞を抗N-WASP抗体、抗WAVE抗体や抗Mena抗体を用いて免疫染色し、各抗原のラメリポーディアにおける局在を観察した。フィロポーディアの伸長に関与するN-WASPは、マイクロスパイクのアクチン束全体に分布した。N-WASPの活性制御因子であるCdc42も同様な局在であったことから、N-WASPはラメリポーディア内ではアクチン繊維の重合ではなく束形成を制御していることが示された。ラメリポーディアの伸展に関与しているWAVEとMenaは、共にラメリポーディアの先端に沿って局在した。またMenaはラメリポーディア内のマイクロスパイク先端へ濃縮したが、そのような分布はWAVEでは観察されなかった。これらの結果から、アクチンの重合に関してMenaがWAVEよりも直接的な役割を果たしていることが示唆された。WAVEとMenaのラメリポーディア先端への局在に関わるタンパク質分子内のドメインを決定したところ、それぞれSHDとEVH2であった。これらのドメイン間に明らかな相同性がないことから、WAVEとMenaの局在は異なった機構で制御されていることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)