2000 Fiscal Year Annual Research Report
四肢筋パターン形成過程におけるHoxAbdB遺伝子群の発現と機能の解析
Project/Area Number |
12780552
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 雅和 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10314056)
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Keywords | Hoxa-11 / Hoxa-13 / 肢芽 / 筋 / Pax-7 / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
体節より肢芽に移入した全ての筋形成細胞は肢芽間充織依存的にHoxa-11を発現する。筋芽細胞集団形成後その後端部領域でHoxa-13の発現が始まり、同時に筋芽細胞集団の後方領域よりHoxa-11の発現が消失していく。四肢筋の領域特異的なパターンが、Hox遺伝子を介して筋形成細胞自律的に制御されていることが示唆されている。筋形成細胞で発現するこれらHox遺伝子の機能を明らかにするため、電気穿孔法を用いた予定前肢筋形成細胞への異所的遺伝子導入系を開発し解析を行った。 導入する遺伝子としてHoxa-11およびHoxa-13,さらにそれぞれにEngrailed転写抑制化領域またはVP16転写活性化領域を融合したもの(それぞれ顕性抑制化型、顕性活性化型として機能することが期待される)を組み込んだ発現プラスミドDNAを構築した。筋形成細胞へのHoxa-13の異所的発現により、Hoxa-11の発現抑制も認められた。筋芽細胞集団形成後に見られるHoxa-11の発現消失に、Hoxa-13が関与していることが強く示唆された。Hoxa-11またはHoxa-13を筋形成細胞に異所的に発現させると、筋形成細胞におけるPax-7の発現が抑制された。筋形成細胞で発現するPax-3はそれらの肢芽への移入に不可欠な因子であり、またMyoDの発現制御により筋分化のコントロールに関わることが知られている。Pax-7は遺伝子構造や発現様式に関してPax-3と酷似していることから、筋形成細胞においてもPax-3と同様の機能を持つと考えられている。このことを考え合わせるとHoxa-11やHoxa-13はPaxの発現制御を介して、筋形成細胞の移動や分化(増殖)に関与することが示唆される。 今後Hoxの異所的発現がPax-3や筋分化制御因子群、筋分化マーカーの発現に与える影響を解析を進める。さらに構築した顕性抑制化型および顕性活性化型Hoxの異所的発現により、それぞれのHoxの機能を解析する予定である。
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