2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780571
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 直之 日本医科大学, 医学部, 講師 (80256974)
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Keywords | 中脳 / GnRH / 入力源 / 線維連絡 / 硬骨魚類 |
Research Abstract |
本年度は硬骨魚類中脳のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)細胞の近傍にトレーサーの電気的注入を行った。中脳GnRHニューロンの近傍には太い動脈が複数走行している。そのため電極刺入時のわずかな傷が重篤な出血を引き起こし、結果的に実験動物が死亡に至る確率が極めて高いことが分かった。しかしながら、多数の注入実験を行った結果、注入成功例が1例得られた。 この中脳GnRHニューロン近傍へのbiotinylated dextran amineの注入成功例では、以下の脳領域に逆行性標識細胞が見られた。1)視蓋前域のいくつかの核、2)硬骨魚類における小脳からの出力細胞であるeurydendroid cell、3)三叉神経感覚核、4)前庭覚の入力がある第8脳神経核のいくつか、5)標識は弱いものの終神経のGnRH細胞。 これらの結果は中脳のGnRH細胞への視覚性、一般体性感覚性、および前庭覚性の入力とGnRH細胞群間の情報伝達を示唆する。しかしながら、中脳GnRH細胞の近傍には内側縦束とこの線維束の吻側端に位置する内側縦束核が存在するため、これらの核のいずれに上記の入力源の候補から投射があるか、あるいは線維束を通過している軸索からのトレーサー取込みによる結果であるか、など確認すべき点が残されている。来年度は中脳へのトレーサー注入実験の成功例を増やすとともに。これらの入力源候補となる脳部位への注入実験を行う予定である。
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