2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780577
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千田 大 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90312842)
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Keywords | 神経回路形成 / 軸索誘導 |
Research Abstract |
申請者は、皮質橋核路をモデル系に、軸索側枝誘導の分子機構を解明することを目的として、研究計画に従って、以下の研究を行った。 1.軸索側枝誘導のアッセイ系の確立 大脳皮質脊髄路の形成における軸索側枝に関しては、これまでの研究から、脳幹の標的である橋から拡散性の物質が分泌され、橋の近傍を通過した大脳皮質の遠心性神経軸索に作用し、側枝を誘導すると報告されている。まず、コラーゲンゲルの三次元培養系を用いて軸索側枝形成が観察できるかどうか検討したところ、大脳皮質から数多くの軸索が伸長し、橋の方へ誘引されるのが観察された。さらに、橋の培養上清を用いて、側枝形成が促進されることを確かめた。このアツセイ系によって拡散性の物質による軸索側枝形成促進活性を評価した。 2.軸索側枝誘導因子のスクリーニング アッセイ系の確立と同時に、橋由来の分泌蛋白を網羅的にクローン化することを、酵母のsignai sequence trap法を用いて試みた。その結果得られた約100クローンのうちの多くが、シグナル配列と予想される疎水性のアミノ酸配列を持っていた。クローンの中には、脳に発現していることがすでに知られている膜蛋白や、ESTにのみHomologyの検出される分子、あるいは、まったく既知の分子とHomologyがない分子であった。現在、まず、機能の明らかになっていない遺伝子に注目し、全長のcDNAをクローン化を試みている。また、既知の分泌性の蛋白質では、Slitおよび何種類かのケモカインがクローン化された。これらの分子の新生胎仔期における発現パターンを詳細に検討したところ、Slitおよびある種のケモカインの橋での発現が確認された。組み換えタンパク質を培養細胞で発現させ、発現細胞と大脳皮質との共培養系を用いて、その軸索側枝形成促進能を検討したが、はっきりとした促進活性がみられていない。発現量が少ない可能性が考えられるので、組み換えタンパク質を精製し、その活性を検討する予定である。
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