2000 Fiscal Year Annual Research Report
上丘浅層・中間層細胞間信号伝達効率の動的変化の多点同時記録による検討
Project/Area Number |
12780615
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
相澤 寛 弘前大学, 医学部, 助教授 (40222434)
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Keywords | 衝動性眼球運動 / 上丘 / 多点同時記録 |
Research Abstract |
本研究は脳の層構造及び電極刺入方向に対して垂直方向の多点同時記録法を開発確立し、このシステムを用いてExpress saccade時の中脳上丘内局所回路での信号伝達促通時に視覚入力層である浅層と運動出力層である中間層・深層間の機能的結合の強さが一時的に増強されている可能性を、多点同時記録による両者の神経細胞の発火活動相関解析を行って検討しようとするものである。初年度の平成12年度にはサルのサッカード課題に対する訓練と多点同時記録システムの確立を予定した。1.サル訓練:課題の与え方や標的の空間的位置の予測のしやすさを系統的に変化させてサッカード反応時間分布を求め、Express saccadeの出現頻度が課題ブロック毎にコントロールされるよう訓練を行った。2.多点同時記録システムの確立:垂直方向に深さの異なる複数の点からの記録を可能にする1本シャフトの多重電極として、従来の電極を貼り合わせたもの、2〜10本のステンレスワイヤーを貼り合わせたもの、の2種類を試作した。3.並行して、アセチルコリン作動性投射を介して上丘内信号伝達に修飾作用を持つと考えられる脚橋被蓋核ニューロンから従来の単一神経活動記録法による課題遂行時神経活動記録を継続し、サッカード遂行時だけでなく、報酬、報酬の予測、或いは報酬に結びつく課題遂行の開始に関連した神経活動をも観察し、これを報告した。初年度を終え、1.過去の報告に論じられた以外の因子にも反応時間分布が影響されることがわかったので、多点神経活動記録用チェンバーの装着を延期して訓練を継続する、2.ガイドチューブに適合する太さと脳深部に刺入する強度の両者を持つ電極の開発と多入力前置増幅器に混入する雑音の低減を目指す、という点も併せて本研究の今後の展開を図る予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Kobayashi,Y.Inoue,M.Yamamoto,H.Aizawa,and T.Isa: "Coding of multimodal signals in the pedunculopontine nucleus neurons related to performance of visually guided saccade task."Abstracts Socity for Neuroscience. 26. 971 (2000)
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[Publications] 井上由香,小林康,相澤寛,伊佐正: "ニホンザル脚橋被蓋核におけるサッカード課題への動機付けや報酬に関連したニューロン活動"第23回日本神経科学大会ブログラム・抄録集. 315 (2000)