2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780627
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 麻紀 理化学研究所, マウス変異開発研究チーム, 研究員 (90321728)
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Keywords | 凍結保存 / 卵巣 / 系統維持 / マウス / 移植 / 突然変異 / 疾患モデル / 生殖工学 |
Research Abstract |
本年度はまず卵巣移植の手技の習得を主目的とし,平成13年2月現在,39匹のresipientへ卵巣を移植し,移植後2週間から交配を開始した.13匹が交配中で,2匹は既に出産し,litter sizeはそれぞれ3匹であった.また,5匹は移植後1週間で卵巣を摘出し,組織像を観察した.移植後1週間の卵巣は肉眼的所見では卵巣嚢に血液塊を含む場合もあったが 組織切片を光顕レベルで観察した結果,成熟卵胞が存在し,卵巣は正常であることが確認できた.出産した個体は左右両側にdonorの卵巣を2分割したものを移植した個体であった.このことから,移植により,卵巣のサイズが大幅に減少しても体内のホルモンバランスは保たれ,正常に性周期は機能することが確認できた.また,一般的にdonorおよびrecipientには6週齢程度の若齢の個体が用いられるが,14〜16週齢の個体でも正常に産仔が得られた.また,現在交配中であるが,著しい痙攣発作を示し,産仔を得ていない39週齢の個体から卵巣を移植した.recipientからの出産が確認できれば高齢の個体からも移植が可能であることが確認できる. 通常recipient個体にはdonor個体と同系統のトランスジェニック個体やdonor系統と他系統とのF1,もしくはヌードマウスを用いることが多いが,いずれも作出や維持/飼育が困難であったり,毛色では判断が付かずDNAを検査することにより,産仔がdonor由来であることを確認する必要があった.今回,主要組織適合性抗原をコードする遺伝子,H2KとH2Dのタイプが一致し,毛色が異なるDBA/2とBALB/cの2系統間での移植を試みた.現在交配中で未だ産仔は得ていないが,交配後のrecipientにプラグを確認できた個体もあり,性周期は正常であることがわかった.
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