2001 Fiscal Year Annual Research Report
視覚誘発電位の非線形解析による視覚M/P経路特性の計測法の開発
Project/Area Number |
12780655
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
百瀬 桂子 神奈川工科大学, 工学部, 講師 (60247210)
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Keywords | 非線形システム解析 / 視覚誘発電位 / 大細胞系(Magnocellular) / 小細胞系(Parvocellular) / コントラスト / 疑似ランダム系列 / Binary Kernel / 時空間周波数特性 |
Research Abstract |
本研究は、Binary Kernel法により視覚誘発電位(VEP)を解析して得られる非線形成分(N次バイナリ核関数)と視覚M/P経路特性との関係を明らかにし、それをふまえた視覚M/P経路の機能評価方法を開発することを目的としている。本年度は、昨年度明らかにしたM/P経路それぞれが特異に反応する刺激について、実測により検証した。 輝度の異なる2つの灰色一様画面を疑似ランダム系列(PRBS)に基づいて切り替えて、刺激とした。PRBSとVEPの相互相関関数より、Binary Kernelを算出した。刺激に用いる2画面のコントラストを様々な値(12.5%〜87.5%の範囲内)に設定して、コントラストとBinary Kernelの関係を調べた。健常者3名を対象とした。1次カーネルおよび2次カーネルの第1スライスは、コントラストの減少に対して、最大振幅が低下する傾向を示した。最大振幅値の潜時の変化には個人差があり、統一的な傾向はみられなかった。本研究代表者らが先に提案した時間周波数特性導出法(Momose et al.,IOVS,1999)を適用したところ、コントラストが低下するに従って、10Hz以下の成分の振幅が低下するとともに18Hz付近の振幅が増大する傾向があった。低コントラスト刺激は、高周波数特性のよいM系を選択的に刺激すると考えられる。MおよびP系の応答はPRBSによるVEPの18Hz付近および10Hz以下の成分に、それぞれ現れることを示唆している。従って、本手法によりM/P経路の特性を分離抽出できる可能性が示された。 さまざまな空間周波数をもつ刺激に対するVEPの実測と評価、およびこれらの実測結果から実用的な時空間周波数特性の計測法を開発することが、今後の課題として残された。
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