2001 Fiscal Year Annual Research Report
ECISによる培養血管内皮細胞の動態挙動の解析と評価
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12780660
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
立花 博之 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助手 (00241216)
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Keywords | 電気インピーダンス計測 / 培養内皮細胞 / ずり応力 / 細胞間隙 |
Research Abstract |
研究実施最終年度である本年度は、培養内皮細胞層の電気インピーダンス計測(ECIS)用の流れ負荷システムの改良を行い、流れ負荷時の培養内皮細胞の巨視的な挙動(マクロメーターオーダー)と微視的な挙動(ナノメーターオーダー)の関連性が検討出来るシステムの構築を行った。ECIS計測用電極アレイは、厚さ約0.5mmで、金電極の厚みは数mmである。倒立位相差顕微鏡観察において、倍率20倍の対物レンズでは焦点距離は2mm程度なので、電極アレイが顕微鏡ステージ上に直接接触するようフローチャンバーを製作した。 製作したチャンバーを用いて、培養内皮細胞のヒスタミンならびにVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)に対する内皮細胞間隙変化を調べた。ヒスタミンは炎症部位などで内皮間隙を拡げ、各種血中成分の漏出を促すことがしられているが、ヒスタミンを内皮細胞に投与すると細胞-基質間抵抗成分はほとんど変化が見られなかったが、細胞-細胞間抵抗成分は一過性に低下した。VEGF投与時には、逆に細胞基質間抵抗成分が一過性に減少したが、細胞-細胞間抵抗成分には大きな変化が見られなかった。現在、薬剤に対する内皮細胞の反応が多く研究されているが、インキュベーターの扉の開閉によってインキュベーター内CO2濃度が変化し、その結果内皮細胞間隙が変化することを我々は見いだしている。ECIS用フローチャンバーを用いると、内皮細胞に対して薬剤を投与するとき、CO_2濃度変化ならびにそれにともなうpH変化の影響を除去することが出来、薬剤に対する内皮細胞の反応機構の研究に大変有効であることがわかった。現在使用できる対物レンズは20倍であるが、今後、正立顕微鏡との複合化を図り、より高倍率での観察が可能になるようシステムの改良を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 片岡則之, 望月精一, 立花博之, 小笠原康夫, 辻岡克彦, 梶谷文彦: "Electric Cell-substrate Impedance Sensingを用いた細胞間隙変化の実時間解析"第24回日本バイオレオロジー学会年会抄録集. 45 (2001)
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[Publications] S.Mochizuki, Y.Chiba, Y.Ogasawara, N.Kataoka, M.Goto, H.Tachibana, F.Kajiya: "Direct in situ evaluation of nitroglycerin-derived nitric oxide production in the canine and rat vascular walls at high temporal and spatial resolutions"Cardiovascular Engineering : An International Journal. 1・2. 85-91 (2001)
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[Publications] 片岡則之, 橋本謙, 立花博之, 小笠原康夫, 辻岡克彦, 梶谷文彦: "レーザーピンセットを用いた刺激負荷に対する培養血管内皮細胞のカルシウム応答解析"第53回日本生理学会中国四国地方会予稿集. 17 (2001)