2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12800008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀川 直顕 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (70022697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 武夫 宮崎大学, 工学部, 教授 (70025386)
大東 出 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (90303594)
岩田 高広 名古屋大学, 理学研究科, 助手 (70211761)
岩元 茂 高エネルギー加速器研究機構, 助手 (50141974)
松田 達郎 宮崎大学, 工学部, 助教授 (20253817)
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Keywords | スピン / 核子スピン構造 / COMPASS / 偏極標的 / クオークスピン / グルーオンスピン / QCD / ミューオンビーム |
Research Abstract |
国際貢献の一貫として遂行しているCERNでの国際共同研究(COMPASS)にとって平成13年度は特別な意味を持つ年であった。すなわち、過去6年にわたって準備してきた装置を組み上げ、偏極ビーム・偏極標的で実際の実験を行うことに成功させた年となった。実験は9月10日を期して装置搬入を完全に済ませ、1ヶ月の検出器調整の後、10月8日から23日にかけて物理データ収集測定を行った。この実験開始と実行にそなえ、大学院学生5名を長期に派遣し、またスタッフメンバーがほぼ1ヶ月に一度以上の頻度でCERNを訪れ、研究全体の進捗状況をチェックした。本年度の実績として、以下の成果をあげた。 (1)COMPASS用偏極標的の建設:COMPASSで使用する偏極標的のための超伝導電磁石の製作をOxford Co.LTDが行い、平成13年2月までに製作完了し、3月に最終励磁テストを行った。しかし、残念ながら磁石は20回の磁場反転テストの途中でクエンチを発生した。この点を重視し、6ヶ月の長期測定には不安があると言うことで使用を断念した。急遽、SMC実験で使用した旧磁石を立ち上げるべく方針を切り替え、日本グループ中心に5年間放置されていたSMC磁石を立ち上げ、9月には^6LiD標的で重陽子偏極度58%を達成し、本実験を実行することを可能にした。オックスフォード社で製作の磁石については、その後スペックを下げてのテストでもクエンチが発生し、再検討を余儀なくされている。これについてはCERNの助力を得て次の改良のための方策を探る努力を続けている。 (2)ビームトラッカーの製作と実験への利用:偏極標的の上・下流に設置し、ミューオンビームの入射時間・位置を分解能良く決める検出器として0.5mmφのシンチレーションファイバーと多極光電子増倍管(H6568)の組み合わせによるビームトラッカーを建設・設置した。本年度は標的の直下流に設置する第3基トラッカーを製作し,最終的に性能テストをして、実験に使った。実際のビーム強度は2.2x10^8pppであった。本実験での時間分解能は、標的上流に設置したトラッカー(SF1,SF2)ではσ〜500ps、標的下流(SF3,SF4)ではσ=700-900psの性能を得た。これはテスト実験に比べると性能が落ちているが、ビーム強度が上がっていることが効いている。来年度の実験ではビーム強度が更に高くなることが予定されており、ビームトラッカーの性能劣化を防ぐため、急遽光電子増倍管の電圧降下を補う対策を講じた。 (3)オフライン解析プログラムの作成:実験に入る前に、COMPASSはシミュレーション、データ整理、パターン認識、モニター系等各種のプログラムを完成しておかなければならない。日本グループからは1人の大学院生メンバーが解析グループに属し、特にデータベースプログラムを完成した。このデータベースプログラムは実験機間中も実験後もオフライン解析を実行する研究者が利用し、実用化されている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 堀川 直顕 他SMCメンバー: "Measurement of the SMC Muon Beam Polarization Using the Asymmetry in the Elastic Scattering off Polarized Electron"Nucl.Instrum.Methods in Phys.Research. A443. 1-19 (2000)
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[Publications] 堀川 直顕 他: "Helicity Dependence of γp→Nπ below 450MeV and Contribution to the Gerasimov-Drell Hearn Sum Rule"Phys.Rev.Letters. 84. 5950-5954 (2000)
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[Publications] 大東 出 他: "Polarized Deuteron Target System for Low Energy D'(r')T Measurement"Proceedings of International Conference "SPIN 2000". 896 (2000)