2001 Fiscal Year Annual Research Report
運動誘発電位と脳波の変化からみた脳卒中片麻痺患者への運動療法の効果
Project/Area Number |
12832009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20206618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 一成 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80220630)
大井 直往 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90282045)
岩谷 力 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00092148)
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Keywords | 脳波 / 運動誘発電位 / 脳卒中片麻痺 |
Research Abstract |
本研究は脳卒中片麻痩患者に対する歩行を中心とした運動療法の中枢神経への効果を、運動中の脳波変化および頭部磁気刺激による運動誘発電位(MEP)の変化の点から明らかにするものである。また合わせて運動療法による身体バランスの変化についても検討した。本年度は発症後3か月以内に医学的リハビリテーション(リハ)を目的として入院した、初回発病の脳卒中片麻癖患者9名を対象とした。運動課題は裸足での10m歩行とし、歩行前の安静時、最大努力での歩行中、および歩行後の安静時にそれぞれ脳波を測定した。また医学的リハ施行前と1か月後でMEPを測定した。脳波は左右半球毎に、総パワー値に対する対象帯域のパワー値(相対パワー値)を指標として解析した。歩行中には、両側半球の前頭領域を中心としたα帯域相対パワー値の有意な減少と病変半球側後頭領域のβ帯域相対パワー値の有意な増大が観察された。また歩行後には非病変半球側のβ帯域相対パワー値の有意な増大が確認された。これらの結果は運動課題としての歩行が、歩行中には病変側大脳半球の活動を促し、歩行後には非病変側大脳半球の非特異的な賦活をもたらすことを示唆する。一方MEPにはリハ訓練施行前後で顕著な変化が見られず、運動が皮質運動野を特異的に活性化するとは言えないことが示された。また足圧中心の変化からみた身体バランスは1か月の運動療法によって改善したが、同様の効果は短期的には麻痩側下肢への電気刺激によっても得られた。すなわち運動は物理刺激による中枢賦活と類似した効果を有し、これが身体機能の改善をもたらすと考えられた。これらの結果の一部は第38回日本リハビリテーション医学会で発表した。
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Research Products
(1 results)