2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の萎縮・肥大・再生メカニズムの解明-寝たきり予防と機能回復の方法を求めて-
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12832031
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川真田 聖一 広島大学, 医学部, 教授 (30127641)
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Keywords | 骨格筋 / 萎縮 / 肥大 / ギプス固定 / 再生 / 傷害 / 電子顕微鏡 / ラット |
Research Abstract |
1.ラットの後肢をギプス固定すると、下腿の筋は最初の1週間で重量が約20%減少したが、萎縮の程度は筋の固定状態によって、大きく異なった。同じ1週間のギプス固定でも、伸長位で緊張していた筋はほとんど萎縮しなかったが、短縮位で弛緩していた筋は約25%萎縮した。神経麻痺は、筋の萎縮に最も影響が大きく、1週間に骨格筋は30%以上萎縮し、神経が再生すると筋は回復し始めた。したがって、筋の萎縮を防ぐには、筋に対する張力と神経支配が重要である。筋の張力や神経の何が筋の維持や肥大に貢献しているが、現在追究している。我々は、筋肥大時の骨格筋タンパクの動態をインサイチュー・ハイブリダイゼーションで解明しようと試みたが、特異性の高いプローブを作ることはできなかった。今後は、電気泳動で調べるよう準備している。 2.筋の再生における、衛星細胞の役割を追究した。筋を4時間阻血すると、ヒラメ筋はほとんどが壊死して、再生が始まる。3日後には筋管細胞が作られ、5-7日後頃には筋線維が見られた。2週後にはかなりの筋が再生した。しかし、阻血と同時に筋に25Gyの放射線を照射すると、2週後に再生はほとんど起こっていなかった。阻血と照射時期をずらすと再生がおこった。筋再生の程度と衛星細胞の変化を、電顕を使って解析中である。 3.坐骨神経を電気刺激して筋に傷害を起こし、傷害の機序と修復について検討した。腱を切断して張力がかからないようにして筋を収縮させても、筋節の傷害は観察されたが、単に筋を強い力(筋湿重量の1,000倍)で牽引しても傷害はわずかだった。したがって、筋の傷害発生には、筋の活動が重要である。傷害を防止する方法の開発と、修復過程の解明を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 榊間春利,甲斐悟,小澤淳也,川真田聖一: "ギプス固定によるラット下腿の萎縮と回復"理学療法学. 27(5). 174-179 (2000)
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[Publications] Sakakima S,Kawamata S,Kai S,Ozawa J,Matsuura N: "Effects of short-term denervation and subsequent reinnervation on motor endplates and the soleus muscle in the rat."Archives of Histology and Cytology. 63(5). 495-506 (2000)
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[Publications] 島田達生,小林邦彦,渡辺皓 監訳: "健康と病気のしくみがわかる解剖生理学"西村書店. 494 (2000)