2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の視覚注意障害が社会的転帰に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
12832037
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 悟郎 長崎大学, 医学部・保健学科, 助教授 (00253691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲富 宏之 長崎大学, 医学部・保健学科, 助手 (10295107)
太田 保之 長崎大学, 医学部・保健学科, 教授 (50108304)
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Keywords | 精神分裂病 / 視覚探索課題 |
Research Abstract |
本研究では、これまでわれわれが用いていた課題の条件1(特徴探索)と条件2(結合探索)の間により明確な差が見られるよう課題を修正し実施した。 対象は、精神病院に入院中及びデイケアに通所中の精神分裂病患者24名と病院職員25名。なお、対象者には本研究の目的と方法をあらかじめ説明して同意が得られている。両群問で年齢においては有意差は認められなかったが、患者群は有意に男性が多く、平均教育年数が低かった。 2条件の患者群と健常者群の平均探索時間の分散分析の結果、2条件とも患者群の探索時間は健常者群よりも有意に遅かった(P<0.01)。次に、探索時間の勾配、すなわち呈示刺激数による探索時間の変化率は、条件1においてほぼ0msec/itemであり、患者群と健常者群の間で勾配に差は認められなかった。つまり、条件1においては、探索時間は妨害刺激数に依存していないことがわかった。これに対し、条件2の探索時間は呈示刺激数の増加とともに遅くなり、患者群の探索時間の勾配は、目標刺激の有無にかかわらず健常者群の約2倍で有意に急になっていた(P<0.05)。 本研究の視角探索課題では、条件1の特徴探索では患者群と健常者群の勾配に差がなく、条件2の結合探索では、目標刺激の有無にかかわらず両群の勾配に有意差が認められた。この結果は、これまでのわれわれの研究より精神分裂病患者の前注意過程は健常者とほぼ同程度に機能しているが、集中注意過程に障害があることを、より明確に示唆しているといえる。今後は、視覚注意障害と精神症状及び生活技能との関連性を調査していきたい。
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