2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性膀胱に対する新しい自律神経作動薬の臨床的および実験的研究
Project/Area Number |
12832038
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田中 信行 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40041454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡 鹿児島大学, 医学部・付属病院, 医員
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70295244)
川平 和美 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20117493)
|
Keywords | 神経因性膀胱 / 脊髄損傷 / エンドセリン受容体 / セロトニン受容体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脊髄損傷後の仙髄排尿中枢および膀胱における神経伝達物質受容体の変化を調べ、神経因性膀胱の成立機転及び効果的な薬物治療を検討することである。本年度は、脊髄損傷ラットモデルの作成に重点をおき以下の検討を行った。 生後6-8週齢の雌ラットを用い、深麻酔下に椎弓切除を行い、中位胸髄レベルにおいて脊髄を切断し脊髄損傷を作成した。また脊髄露出までの処置を行い、脊髄損傷を作製しない群をsham群とした。脊髄損傷後はspinal shockにより自排尿が不能となるため、1日3回の用手圧迫排尿あるいはカテーテル留置による尿路管理を行った、脊髄損傷約1週間で膀胱収縮が起こり始めるため圧迫排尿の回数を1日2回に減ずることが可能となり、約2週間後には痙性膀胱となり自排尿が可能となることを確認した。また脊髄損傷作成後、深麻酔による低体温が術後早期の死亡の原因になることが判明。そこで術後覚醒までの保温に留意することで早期死亡を予防でき、脊髄損傷後約1ヶ月間合併症なく維持できることを確認した。現在、脊髄損傷2週間後のラットから脊髄及び膀胱を摘出し、脊髄におけるセロトニン受容体、膀胱におけるエンドセリン(ET)受容体の変化を脊髄損傷群とsham群で比較検討を行っている。 また脊髄損傷後のエンドセリン-1(ET-1)による膀胱収縮反応の変化の検討を行うための基礎実験としてラット摘出膀胱を用い、マグヌス法にてET-1による膀胱収縮反応とそれに関わるET受容体サブタイプについて検討を行なった。その結果、ET-1が膀胱収縮反応を起こし、その反応はET_A受容体の拮抗薬であるBQ123により有意に抑制された。このことよりラット膀胱においてET-1はET_A受容体を介して膀胱収縮に関わることがわかった。この結果を踏まえ、現在脊髄損傷群sham群におけるET-1による膀胱収縮反応の比較検討を進行中である。
|