2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性膀胱に対する新しい自律神経作動薬の臨床的および実験的研究
Project/Area Number |
12832038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田中 信行 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40041454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70295244)
川平 和美 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20117493)
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Keywords | 脊髄損傷 / ラット / 膀胱 / 脊髄 / エンドセリン-1 / 膀胱内圧測定 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に作成および維持方法を確立した脊髄損傷ラツトを用い、以下の検討を行った。 1脊髄損傷ラット膀胱におけるエンドセリン-1(ET-1)含量の検討 近年、尿流出路狭窄や糖尿病モデル動物の膀胱でET受容体のアップレギュレーションが起こることが報告され、病態下の膀胱肥大へのET受容体の関与の可能性が考えられているが、ET-1含量の変化についての報告はない。そこで脊髄損傷ラット膀胱におけるET-1含量の変化を検討した。T4-T6レベルで脊髄損傷を作成、3〜4回/日の用手圧迫排尿を行い、3〜4週後に膀胱を摘出。膀胱内のET-1含量をRIA法により測定し、対照群と比較した。脊髄損傷ラット膀胱では排尿筋外尿道括約筋協調不全による機能的な尿流出路通過障害のため膀胱壁は肥大し、湿重量は対照群の約3倍に増加していた。またET-1含量は対照群は湿重量1g当り395±49pg,脊髄損傷群は234±27pgで脊髄損傷群で有意に低値を示した。膀胱内でET-1は主に粘膜層に存在することが報告されており、平滑筋層の肥大した脊髄損傷群では湿重量当りのET1含量が低値を示したものと考えられる。脊髄損傷後の膀胱肥大へのET1の関与の検討には平滑筋層と粘膜層を分離しての評価や脊髄損傷後早期の肥大進行過程における評価が必要と考えられる。 2脊髄損傷ラットの排尿反射に対するET-1の髄腔内投与の影響の検討 脊髄損傷ラットの排尿反射に対するET-1の影響を検討した。1と同様の方法で脊髄損傷を作成、維持を行い、2〜3週後に膀胱痩を作成、T5-6レベルから髄腔内へチューブを挿入し、腰膨大近傍に留置。翌日覚醒下に膀胱内圧測定を行った。ET-1(100pmol)の髄腔内投与は排尿反射に対して抑制作用を示し、脊髄のエンドセリン受容体は脊髄損傷後の排尿反射に対して抑制的に作用する可能性が示唆された。
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