2002 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈バイパス術後のリハビリテーションによるインスリン抵抗性改善効果に関する研究
Project/Area Number |
12832049
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
牧田 茂 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40316708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間嶋 満 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70165702)
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Keywords | 冠動脈バイパス術後 / インスリン抵抗性 / リハビリテーション / 嫌気性代謝閾値 / 運動療法 / 自律神経活動 / 身体活動量 |
Research Abstract |
CABG後の心臓リハビリテーション(心リハ)におけるインスリン抵抗性改善効果について、本年度はコントロール群について検討した。対象は8例の男性患者であり、平均年齢は64.0±6.5才で平均バイパス枝数は3.8本であった。昨年同様に病棟内歩行が可能となった時点で心肺運動負荷試験(CPX)を行いpeak VO2とAT(anaerobic threshold)を決定した。対象者はAT(酸素摂取量)の80%以下に相当するトレーニング強度(20.1±8.8ワット)の自転車こぎを一日2回(1回30分)14.0±4.6日間実施し再度CPXを行った。また運動療法前後に75gOGTTと血中脂質について測定した。その結果、運動耐容能については運動療法前後に有意な差を認めず、またインスリン抵抗性指標も改善しなかった。入院中の日常活動量は5184±2680歩/日であった。回復期における非監視型在宅運動療法については、運動耐容能は増加傾向を示したものの有意ではなかった。 運動後の心拍減衰応答(T30)は心疾患患者の予後予測指標として有用であり、心リハにより改善する。今回はT30の改善について、アクティブトレーサーを用いて安静時の自律神経活動が影響しているかどうか検討した。その結果T30の運動療法前後の変化量はHFの変化量と関連を認めず、LF/HFの変化量と相関傾向を認めた(r=0.646)。以上よりCABG後患者のT30の改善は安静時の交感神経活動に影響を受ける可能性が示唆された。 *3年間の補助金交付期間中で得た結論は以下のとおりである。 CABG後患者におけるインスリン抵抗性改善のための包括的心臓リハビリテーションにおいて、1)インスリン抵抗性指標として臨床現場で可能な検査は75gOGTTにおける120分での血糖値ならびにインスリン値である。 2)高インスリン血症を認める症例は、若年で血中中性脂肪が高値かつBMI(体格指数)が大の傾向にある。 3)入院中の包括的心リハにより、高インスリン血症は改善傾向を示すものの十分ではなく、退院後の外来回復期心リハが重要と思われる。 4)入院中心リハの運動強度はATレベルが安全かつ有用と考えられた。 5)血糖値改善と入院中の身体活動量は有意な相関を認めたことから、自転車こぎ以外にも積極的に歩行を心がける必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 内田龍制, 牧田茂, 佐藤真治, 間嶋満, 西村重敬: "CABG後回復期リハビリテ-ションにおける血中乳酸濃度の変化"心臓リハビリテ-ション. 8巻1号(掲載予定). (2003)
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[Publications] 佐藤真治, 高橋真由香, 牧田茂: "冠動脈バイパス術後患者の心臓リハビリテ-ションにおける運動後心拍減衰応答(T30)の変化"体力科学. 51(3). 275-282 (2002)
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[Publications] 牧田茂: "心不全患者へのリハビリテ-ションの適応-トレ-ニング効果とその機序-"医学のあゆみ. 203巻9号. 771-776 (2002)
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[Publications] 佐藤美樹, 牧田茂, 堀口志穂, 関谷八重子, 間嶋満: "開心術後運動障害を合併した患者に対するリハビリテ-ション看護"心臓リハビリテ-シヨン. 8巻1号(掲載予定). (2003)
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[Publications] 牧田茂: "運動処方・運動指導実践ファィル 開心術後(CABG)"臨床スポ-ツ医学. 19巻10号. 1247-1255 (2002)
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[Publications] 牧田茂: "新スポーツのためのメディカルチェック"南江堂 監修村山正博、編集武者春樹. 345 (2002)