2000 Fiscal Year Annual Research Report
犬の自然発生腫瘍を用いた血管新生阻害剤と分化誘導剤による腫瘍休眠療法の検討
Project/Area Number |
12833001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廉澤 剛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (70214418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 雅美 武田薬品株式会社, 薬理研究所, 主席研究員
大泉 巌雄 中外製薬株式会社, 創薬第2研究所, 研究員
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80214162)
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Keywords | 腫瘍 / 腫瘍休眠療法 / 分化誘導 / 血管新生阻害 / 犬 |
Research Abstract |
悪性腫瘍はいまだ致死率の高い難病であり、種々の抗癌剤の開発・研究が進められているが、そのほとんどが細胞毒性薬であるため、重篤な副作用により患者のQOLが損なわれることが多い。このため、腫瘍を根治するのではなく沈静化させることによって腫瘍と共存しQOLを維持しようとするTumor Dormancy Therapyが注目されてきている。 そこで本研究においては、ともに生体への毒性が小さい血管新生阻害剤と分化誘導剤を併用することによってより確実かつ強力に腫瘍のDormancyを誘導できないかどうかを、犬の腫瘍症例を用いて評価を開始した。 対象症例は、北海道大学獣医学部附属動物病院で治療中の腫瘍罹患犬のうち、飼い主と十分なインフォームドコンセントの上で治験の了解が得られた犬とした。平成12年度は20症例ほどに開発段階にある血管新生阻害剤であるTNP-470あるいは分化誘導剤であるOCTを試験的に投与することができた。 投与にあたっては、致命的な副作用を避けるために、安全な低用量から開始し、2週間投与後副作用を認めなければ投与量を漸増する方法を採り、また対象腫瘍症例は現状の一般療法(外科療法、化学療法、放射線療法)では改善が見込めない末期症例とした。このため、薬剤の投与量が十分に増加でき、かつ長期観察可能な症例はごく一部の症例のみであった。しかしながら、腫瘍が脱落した症例、転移が長期抑制された症例、転移巣がわずかに縮小した症例を認め、これらの薬剤の有用性が示唆されている。 平成13年度は、さらに症例を重ね、これらの薬剤の有用性を明らかにする計画である。
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