2000 Fiscal Year Annual Research Report
播種性血管内凝固症候群(DIC)の病体解析および早期診断法の確立
Project/Area Number |
12833010
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
亘 敏広 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (50220950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉江 洋 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (20267040)
山谷 吉樹 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50267043)
竹内 啓 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90011874)
加納 塁 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (00318388)
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Keywords | DIC / 診断基準 / 原因疾患 / 予後 / 血小板凝集能 |
Research Abstract |
播種性血管内凝固症候群(DIC)は白血病や悪性固形腫瘍、敗血症、溶血性貧血など様々な疾患に付随して凝固因子が活性化された結果、全身の微小血管で血栓が形成される疾患である。今回、来院患者で白血病や悪性固形腫瘍などの基礎疾患を有し、DICを疑う症例についてプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、血小板数、フィブリノーゲン、血清FDPおよびアンチトロンビンIII等の凝血学的検査を行いDICの診断を行った。 DICと診断した犬は42症例におよび、それらの診療記録から原因疾患、凝血学的検査所見、予後について検討した。DICの診断基準は上記の6項目のうち4項目以上に異常値を認めたものとした。42頭の年齢は平均9.5歳齢と高齢で、雄が18頭、雌が24頭であった。また原因疾患では腫瘍性疾患が31頭(73.8%)を占め、非腫瘍性疾患は11頭(26.2%)であった。疾患毎では腫瘍性疾患のうち血管肉腫が10頭(23.8%)と最も多く、肝腫瘍が5頭(11.9%)、リンパ腫が4頭(9.5%)であった。また非腫瘍性疾患では子宮蓄膿症が3頭(7.1%)、急性膵炎が2頭(4.8%)であった。予後は36頭(85.7%)と多くの例が斃死し、治癒の認められたものは外科的に摘出できた血管肉腫の3頭と子宮蓄膿症の2頭および内科的に治療できた急性膵炎の1頭のみであった。斃死例のうち30例が1週間以内に斃死あるいは安楽死をしておりそれ以上生存した6例についても治療による改善はなく、致死的経過をたどった。以上のようにDICの多くは腫瘍に伴って発症し、予後の非常に悪い疾患であることが明らかとなった。 次にDIC発症時の血小板凝集能について検討を行った。上記症例のうち、血管肉腫、甲状腺癌、急性膵炎各1例および子宮蓄膿症2例について、末梢血から低速遠心により分離した多血小板血漿を用いてアデノシン二リン酸(ADP)に対する凝集能を検討した。その結果健常犬では不可逆的凝集を示すADP10μmolの濃度で一過性の一次凝集のみしか認められず、凝集能の低下が確認された。またこの傾向はDICと診断がつけられないpreDICの症例においても認められた。
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