2000 Fiscal Year Annual Research Report
乱流に潜むマルチフラクタル特性の微細秩序構造ダイナミックスに基づく解析
Project/Area Number |
12834007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 定義 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10217458)
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Keywords | 乱流 / アクティブスクラー / 間欠性 / 特異性 |
Research Abstract |
今年度は、2次元ブシネ近似方程式に従う自由熱対流乱流の基本的性質を直接数値計算を用いて調べ、以下の結果を得た。 1.温度差の間欠性指数には飽和値が存在し、ほぼ1となる。 2.エントロピー散逸率が大きい領域は、急峻なフロントを形成する。その幅はおよそ粘性スケールの10倍、長さは乱流のマクロスケールに匹敵し、乱流揺らぎの変動時間に比べ十分長い間存在することから、乱流内部の秩序構造と呼べる。 3.エントロピー散逸率は、She-Levequeのモデルと良く合うが、特徴的時間のスケーリング指数として1/2というカスケードから予想されないものが必要。 1.に関して、簡単なバイフラクタルモデルにより、飽和値がフロントタイプの秩序構造の余次元であることを示した。この結果は、2.の乱流内に微細秩序構造が存在する事実と矛盾しない。1.の結果が正しいならば、構造のフラクタル次元が正確に1であるが、これに関してはまだ決定的な結論を得ていない。更に、3.に関して、この時間スケールは、もし非粘性での有限時間発散が存在するならそれに関連するものと考えられる。今回、2次元非粘性ブシネ近似方程式の有限時間発散の可能性について、新しく開発されたadaptive mesh refinement法を用いて取り組み、存在を示唆する結果を得た。興味深いのは、発散は、フロントの形成後その不安定化が引金となっていることである。しかし、フロント自身の幾何学的な構造には強い変形が見られず、発散は局所的な勾配の急峻化により生じている。このことは、乱流中の構造の余次元がほぼ1であることと密接に関連していると思われる。この関連の解明は、次年度の課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Itano,T.and Toh,S.: "The Dynamics of Bursting Process in Wall Turbulence"J.Phys.Soc.Japan. 70. 701-714 (2001)
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[Publications] Toh,S.and Itano,T.: "On the Regeneration Mechanism of Turbulence in the ChannelFlow〜Role of the Traveling-wave Solution"IUTAM Symposium on Geometry and Statistics of Turbulence Kluwer Academic Publishers. 305-310 (2000)
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[Publications] Toh,S.and Matsumoto,T.: "The Dynamics of Structures of T-Vorticity in 2D Free Convection Turbulence"IUTAM Symposium on Geometry and Statistics of Turbulence Kluwer Academic Publishers. 279-284 (2000)