2000 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系の発生分化におけるEph/Ephrinシグナルの機能解析と血管再生の試み
Project/Area Number |
12835011
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (90312321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 年生 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (60118453)
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Keywords | 血管生物学 / 再生医学 / 分子生物学 / 受容体型チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
Cre-loxPシステムを応用してephrinB2を高発現するES細胞と、ephrinB2もしくはEphB4を強発現する支持細胞OP9細胞を作成した。まずES細胞を血管内皮前駆細胞、さらには血管内皮細胞に分化誘導する培養系を用いて血管内皮細胞と上記したephrinB2もしくはEphB4を強発現する支持細胞であるOP9細胞間でのEph/Ephrinシグナルが分化・増殖する血管内皮細胞にどのように作用するかどうか検討した。結果としてEph/Ephrinシグナルは内皮細胞の遊走性及び接着を制御していることを明らかにした。さらにマウス胎児よりヘマンジオブラストが多数存在すると考えられている傍大動脈臓側中胚葉(P-Sp)を器官培養し脈管形成・血管新生の両方の過程を解析できる培養系を用いた研究で環境側のephrin-B2がephrin-B2陽性の動脈内皮の血管新生を誘導させる能力を有すること。反対に環境側のEphB4は血管新生を抑制させることを明らかにした。発現解析において生体内の多くの場所でephrin-B2とその受容体であるEphB4は鏡面的に発現していることが知られている。その機能解析のために、全身的にephrin-B2を強発現するトランスジェニックマウスを作製することにより鏡面的発現を破壊させた。結果として、このマウスは血管投射、血管網形成に異常が認められ、さらには新生児期に大動脈解離にて死亡した。このことより、Eph/Ephrinシグナルは鏡面的発現を通して血管投射、血管網形成に貢献していることが明らかとなった。また、FACS解析に使用できるマウスephrin-B2モノクローナル抗体の作製に成功した。現在、この抗体と既存の血管内皮細胞を認識する抗体(Flk-1、Tie-2、Flt-4、CD31)とを用いてマンジオブラストから血球・血管のそれぞれの系譜への分化、特に血管系においては動脈・静脈・リンパ管への分化の分子機構解明を試みているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Suda: "Hematopoiesis and Angiogenesis"Int.J.Hemotol. 71. 99-107 (2000)
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[Publications] K.Hamada: "VEGF-C Signaling Pathways Through VEGFR-2 and VEGFR-3 in Vasculo-angiogenesis and Hematopoiesis"Blood. 96. 3793-3800 (2000)