2001 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国における野生霊長類をモデルとした内分泌撹乱物質の疫学的研究
Project/Area Number |
12836004
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 樹里 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10175408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 貴文 東京大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20184533)
浅岡 一雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10089138)
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Keywords | 霊長類 / 内分泌撹乱物質 / IGF-1 / 性ステロイドホルモン |
Research Abstract |
1.タイ国での現地調査 タイ東北部において野生カニクイザルおよびアカゲザル集団の捕獲調査を行い、血液試料を採材した。 2.試料の毒物代謝学的分析 血中フタル酸エステルの検索として、ジブチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレートおよびビスフェノール-Aの定量を行った結果、一部の集団でやや高値を示す個体が存在した。 3.血中の成長・性成熟関連ホルモンの分析 IGF-1および性ステロイドホルモン(オスではテストステロン、メスではエストロジェンとプロジェステロン)を測定した。その結果は昨年既に採材された試料について得られた知見と一致していた。即ち、血中IGF-1濃度は、ニホンザルと比較して、その値がやや低く、妊娠が確認された個体では、ニホンザルと同様に高値を示した。テストステロンの血中濃度の年齢変化から、カニクイザルでは飼育下のテストステロンの年齢変化と同様の変化を示し、その濃度もほぼ同様であった。エストロジェンとプロジェステロンについても飼育下と同様の変化を示した。 4.性腺組織における組織学的検索 タイ国内の飼育下のマカクからバイオプシーによって得られた性腺組織から標本を作製し、組織学的検索を行った結果、本検索では内分泌撹乱物質の影響を証明することが困難であった。 5.まとめ タイ国内における野性サルに対するフタル酸エステルによる内分泌撹乱作用の疫学的な証明およびヒトの疫学的モニターとしての有用性の評価は、本研究によってその可能性が示唆された。同時に、更に詳細な研究の必要性も明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suzuki, J.: "The influence of rearing conditions on physical growth of captive Japanese macaques (Macaca fuscata)"The Journal of Veterinary Medical Science. 63・4. 361-366 (2001)
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[Publications] Suzuki, J.: "Age changes in plasma IGF-1 concentration in free-ranging Japanese macaques (Macaca fuscata)"Journal of Medical Primatology. 30. 174-178 (2001)