2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質がサル胎児期の脳の発生・発達におよぼす影響
Project/Area Number |
12836005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 慶子 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90135616)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 甲状腺ホルモン / カニクイザル / 胎児 / 脳 |
Research Abstract |
近年、PCBやダイオキシン等、内分泌撹乱物質が生殖ホルモンのみならず、甲状腺ホルモンに影響を与えている可能性が示唆されている。本研究では甲状腺ホルモンと脳機能の発達に着目し、PCBやダイオキシン類が甲状腺ホルモン系を撹乱するとの仮説に基づき、そのメカニズムを解明することを目的とする。遺伝学的にヒトに近いサルを用いて、内分泌撹乱物質の影響が大きいとされる胎児期、乳児期に、これら内分泌撹乱物質が脳機能の発達に及ぼす影響を分子生理学的、内分泌学的、行動学的に調べる。本年度は、当研究所にて飼育している来歴既知のカニクイザルを使用し、昨年度に開発した妊娠診断法により診断した受胎日の明らかな妊娠ザルを用いて下記の実験を行った。 妊娠初期のサルに30日間、内分泌撹乱物質として、ジエチルスチルベステロールを5mgもしくは10mg経口投与した。これらのサルから生まれた新生児を用いて研究を進める予定でいたが、両者共に流産した。児は流産後直ちに母ザルによって食べられ、実験使用は困難であった。しかし、観察しうる限り、外部奇形は見られなかった。これらのことから、次に、内分泌物質として影響が少ないとされているジェニステイン5mgを妊娠初期のサルに60日間経口投与した。この間、採尿を行い、現在妊娠続行中である。 これとは別に非妊娠カニクイザル5頭にジェニステイン5mgを月経初日から30日間経口投与し、尿中ElC、PdG、FSHを酵素免疫測定法により測定した。その結果、ジェニステイン投与により、カニクイザルの性周期が延長すること、とくに黄体期が延長することが分かった。これらの結果は、サルにおける内分泌撹乱物質の性周期や胎児への関与をについて興味深い展開であると考えられる。まもなくジェニステインを投与した妊娠ザルが出産を迎えることから、その新生児を用いて行動学的、分子生理学的な解析を進めたい
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Keiko Shimizu: "Non-instrumented enzyme-linked immunosorbant assay for detection of early pregnancy in macaques"American journal of Primatology. 54. 57-62 (2001)
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[Publications] Bardy Massimo: "Social behavior and hormonal correlates during the perinatal period in Japanese Macaques"Hormones and Behavior. 39. 239-246 (2001)
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[Publications] Koji Ohira: "TrkB dimerization during development of the prefrontal cortex of the macaque"Journal of Neuroscience Research. 65. 463-469 (2001)
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[Publications] Bardy Massimo: "Hormonal correlates of maternal style in captive macaques (Macaca fuscata and M.mulatta)"International Journal of Primatology. 22. 647-662 (2001)
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[Publications] Barret Gordon: "Fecal testosterone immunoreactivity as a non-invasive index of functional testosterone dynamics in male Japanese macaques (Macaca fuscata)"Primates. (in press). (2001)
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[Publications] Barret Gordon: "Endocrine correlates of rank, reproduction and female-directed agression in male Japanese macaques (Macaca fuscata)"Hormones and Behavior. (in press). (2001)