2000 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質のマウス記憶・学習及び情動行動への影響に関する研究
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12836008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榎本 平 神戸大学, 発達科学部, 教授 (00127622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 知之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00221474)
松本 明 神戸大学, 医学部, 助教授 (80181759)
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Keywords | マウス / 環境ホルモン / 海馬 / 記憶 / 学習 / LTP / 情動行動 / 性行動 |
Research Abstract |
ビスフェノールAなどの内分泌かく乱物質(環境ホルモン)のマウス記憶・学習及び情動行動への影響を調べるため、12年度は、そのためのマウス系統の検索とこれらのマウス記憶・学習及び情動行動を研究し、下記の研究結果を得た。 脳特異的に発現する遺伝子nell2を欠損するnell2-/-マウスでは、 1.nell2+/+の、あるいはnell2+/-同志あるいは+/-♂X+/-♀の交配によって、全てのケースで交尾(交配)し、子供も誕生した。 2.しかし、-/-♂X-/-♀では、20組の交配中ひとつも交配せず、子供も生まれなかった。 3.一方、+/-♂X-/-♀では、少なくとも60%の組み合わせで交尾し、子供も生まれた。 4.更に、-/-♂X+/-♀あるいは+/+♀では、交配が成立せず、子供も生まれなかった。 5.また、+/+、+/-、-/-の♀をホルモンで強制的に発情させると、-/-♂と交配し、子供も生まれた。 6.一方、water mazeによる空間学習能力に-/-、+/-、+/+マウスで何ら差は見られなかった。 7.また、空間学習・記憶に関係するマウス海馬のLTP(電気シグナルの長期増強現象)にも電気生理学的測定では差は見られなかった。 以上の結果より、自然交配では-/-♂が相手では何らかの理由で♀(+/+、+/-、-/-)の発情が押さえられ、その結果交配しないものと考えられる。今後(13年度)は、このマウス系を用いてビスフェノールAなどの環境ホルモンの影響を詳しく調べる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 榎本平: "内分泌かく乱物質問題:女性ホルモン様物質の動態への発生影響"神戸大学発達科学部研究紀要. 7. 141-153 (2000)
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[Publications] S.Matsuyama: "Activation of nicotinic acetylcholine receptors induces long-term potentiation in vivo in the intact mouse dentate gyrus"European Journal of Neuroscience. 12. 3741-3747 (2000)
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[Publications] T.Nomura: "A long-lasting facilitation of hippocampal neurotransmission via a phospholipase A2 signaling pathway"Brain Research. (In press). (2001)