2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質のマウス記憶・学習及び情動行動への影響に関する研究
Project/Area Number |
12836008
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Research Institution | Faculty of Human Development |
Principal Investigator |
榎本 平 神戸大学, 発達科学部, 教授 (00127622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西崎 知之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00221474)
松本 明 神戸大学, 医学系研究科・医学部, 助教授 (80181759)
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Keywords | 遺伝子欠損 / ne112遺伝子 / 記憶・学習 / 痴呆 / LTP / ベータアミロイド / 回避学習 / 海馬 |
Research Abstract |
研究目的 内分泌撹乱物質の記憶・学習・情動等脳への直接的影響を調べる実験系として、記憶・学習・情動等の脳活動の機能に直接関与している脳組織として知られる「海馬」で特異的にNe112遺伝子を欠損するマウスを作成し、この欠損マウスの記憶・学習・情動行動について研究した。また人の痴呆に関与するベータアミロイドの代謝に関与するヒト型カルボキシペプチダーゼの機能についても研究した。 研究結果 1)遺伝子欠損マウスと野性型マウスについて、海馬依存性の空間学習としてモーリス水迷路実験系をもちいて空間学習脳を比較検討した。その結果、海馬依存性の空間学習能の点では欠損マウス、ヘテロマウス、野性型マウスとも高い学習能を示し、有為差は見られなかった。 2)遺伝子欠損マウスと野性型マウスについて、1回の電気刺激による暗室回避学習を行ったところ、野性型は回避率が80%以上と高かったが、欠損マウスは約40%と低下していた。一方、一旦回避学習を獲得したマウスでは、欠損マウスの方が野性型より長期にその記憶保持を維持していた。 3)欠損マウス、野性型の脳海馬を電気生理学的方法を用いて調べたところ、記憶形成に関与するLTP(シナップス伝達の長期増強)反応が欠損マウスで野性型より約30&増加していた。 4)その他に欠損マウスが雄特異的に不妊であることが種々の交配実験より明らかとなった。欠損雄マウスの精巣での精子形成、精子の運動性や形態は正常であることから、不妊の原因は精子と卵子の接合不全と考えられる。 5)人の痴呆に関与するベータアミロイドの代謝に関与するヒト型カルボキシペプチダーゼは、正常ヒトの海馬菱形神経細胞に特異的に存在し、痴呆の患者で著しく現象していることが判明した。 これらの研究から幾つかの興味ある重要な結果が得られたが、今後そのメカニズムも含め、更に詳細に検索していく必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Matsuyama: "Activation of nikotine acetylcholine receptors induces lon-term potentiation in vivo in the intact mouse dentate gyrus"Eur. J. Neurosci. 12. 3741-3747 (2001)
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[Publications] T.Nishizaki: "Presynaptic nicotinic receptors play a critial role in a pathway of NMDA receptor-dependent LTP"Life Science. 68. 2885-2891 (2001)
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[Publications] Torok.H.Papp: "Expression and distribution of carboxypepetidase B in the hippocampal subregions of normal and Alzheimer's disease brain"Acta Biol. Hun.. (in press). (2002)