2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子被覆導線を用いて配線された分子デバイスの構築とその電気物性
Project/Area Number |
12838005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下村 武史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40292768)
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Keywords | 導電性高分子 / 分子素子 / 分子被覆導線 / 分子導線 / 超分子 / 包接錯体 / 原子間力顕微鏡 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
我々は、最近絶縁性の環状分子であるシクロデキストリンから合成されたチューブ状分子、分子ナノチューブを代表的な可溶性導電性高分子であるポリアニリン(PANI)と溶液中で混合したところ、紐状の導電性高分子がチューブ状分子の空洞内に自発的に潜り込んだ超分子構造体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。本研究では、この分子被覆導線で電子機能性有機分子と基板上の外部インターフェイス電極を配線した分子デバイスを作成し、外部インターフェイス電極間の電気特性の測定を行い、分子デバイスの評価をすることを目指す。 これまでにこの分子被覆導線が原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察できること、およびAFMマニピュレーションの手法を用いて目的に位置に移動可能であることが明らかとなっているので、初年度である本年度はこの技術を用いて、分子被覆導線の片側の端を基板上の電極の位置まで動かして、反対側の端を導電コートを施したAFMカンチレバーで接触させ、基板上の電極とAFMカンチレバーの間の抵抗を検出することで導電率を測定することを目指した。分子被覆導線の片側末端をSiO_2基板上に配したAu電極に接触させ、反対側末端をTiNで導電コートしたカンチレバーで接触させ、抵抗測定を試みたが再現性のある抵抗値を測定することができなかった。これは導電コートが分子を観測する際、および抵抗測定の際に破損するのが原因と考えられる。また、カンチレバーを分子被覆導線に強く押し付けると、分子被覆導線が破壊する様子が観測されているため、触圧を慎重にコントロールすることも重要であることがわかる。現在は、SiO_2上にAuの対向電極(電極間距離500nm程度)を形成し、その間に分子被覆導線を配して、導電率を測定するよう準備をすすめている。 また、分子被覆導線の両末端にチオール基をつけ、電極との接触抵抗の低減を目指して研究を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 下村武史: "導電性高分子とシクロデキストリンを用いた分子被覆導線"高分子加工. 49・8. 361-365 (2000)
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[Publications] Yasushi Okumura: "Self-assembling dendritic supramolecule of molecular nanotubes and starpolymers"Langmuir. 16・26. 10278-10280 (2000)
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[Publications] Takeshi Shimomura: "Inclusion effect of an inclusion complex formed by polyaniline and β-cyclodextrin in solution"Polymers for Advanced Technologies. 11. 837-839 (2000)
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[Publications] Yasushi Okumura: "Theory on inclusion behavior between cyclodextrin molecules and linear polymer chains in solutions"Polymers for Advanced Technologies. 11. 815-819 (2000)
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[Publications] Makoto Saito: "Temperature dependence of inclusion-dissociation behavior between molecular nanotubes and linear polymers"Journal of Chemical Physics. 114・1. 1-3 (2001)
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[Publications] Tatsuya Funaki: "Inclusion-dissociation behavior between non-ionic surfactants and molecular nanotubes in aqueous solution"高分子論文集. (印刷中).