2000 Fiscal Year Annual Research Report
天然の糖質を不斉源とした新規配位子の合成とその触媒反応への応用
Project/Area Number |
12839009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90213636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 榮 京都大学, 工学研究科, 教授 (70027069)
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Keywords | グルコース / トレハロース / グルコサミン / 光学活性配位子 / 不斉水素化 / 不斉ヘック反応 / 不斉アリル位アルキル化 / 水溶性ジホスフィニト |
Research Abstract |
【新規光学活性配位子の合成】 (1)トレハロースの4,6:2',3':4',6'をシクロヘキシリデン基で選択的に保護し,Ph_2PClとの反応でトレハロースの2,3位の酸素原子にジフェニルホスフィンが結合したジホスフィニトを合成した。さらにこのジホスフィニトとロジウムとの錯体を合成した後,HBF_4で処理し,シクロヘキシリデンが完全脱保護された光学活性水溶性ジホスフィニト錯体が合成できた。 (2)D-グルコサミンからホスフィニト-オキサゾリン二座配位子を合成した。これらのうち,リン原子上にアンモニオ基を有するベンゼン環を導入した配位子は水溶性を示した。 (3)α,α-トレハロースの一方のピラノシル骨格の3位水酸基と2位炭素にジフェニルホスフィンが結合したホスフィニト-ホスフィンを合成した。さらに,この配位子とロジウム錯体からキレート型錯体とした後,(1)と同様にHBF_4で処理すると,水酸基の脱保護により光学活性水溶性ロジウム錯体へと変換できた。 【触媒的不斉反応への応用】 (1)水溶性ジホスフィニトロジウム錯体およびホスフィニト-ホスフィンロジウム錯体触媒によるエナミド類の水溶媒中での不斉水素化反応を行った。その結果,効率良く反応が進行し,高い光学純度のアミノ酸誘導体が得られた。ジホスフィニトロジウム錯体を用いた場合は天然型のアミノ酸誘導体を,ホスフィニト-ホスフィン錯体からは非天然型のアミノ酸誘導体をそれぞれ得た。また,いづれの反応においても,反応後デカンテーションにより分離した触媒を含む水相が再利用できた。 (2)ホスフィニト-オキサゾリン二座配位子パラジウム錯体触媒による高エナンチオ選択的アリル位アルキル化反応が達成できた。また,アンモニオ基導入による水溶性錯体触媒は容易に回収でき,再度反応に用いることが可能となった。 (3)ホスフィニト-オキサゾリン二座配位子パラジウム錯体触媒による4,5-ジヒドロフランの高エナンチオ選択的ヘック反応を達成した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Yonehara,K.Mori,T.Hashizume,K.-G.Chung,K.Ohe,S.Uemura: "Palladium-catalyzed asymmetric intermolecular arylation of cyclic or acyclic alkenes using phosphinite-oxazoline ligands derived form D-glucosamine"J.Organomet.Chem.. 603. 40-49 (2000)
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[Publications] T.Hashizume,K.Yonehara,K.Ohe,S.Uemura: "A Novel Amphiphilic Chiral Ligand Derived from D-Glucosamine. Application to Palladium-Catalyzed Asymmetric Allylic Substitution Reaction in an Aqueous or an Organic Medium,Allowing for Catalyst Recycling"J.Org.Chem.. 65. 5197-5201 (2000)
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[Publications] 大江浩一,米原宏司,植村榮: "糖質を不斉源とした水溶性光学活性配位子の合成と水溶媒中での触媒的不斉反応への応用"有機合成化学協会誌. 59. 185-192 (2001)