2001 Fiscal Year Annual Research Report
動物性食品原料から生ずる廃棄物の有効利用―特に新機能性食品素材の創製
Project/Area Number |
12839010
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西村 敏英 広島大学, 生物生産学部, 教授 (70180643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 創一 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (90272624)
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Keywords | 環境保全 / 廃棄物利用 / 魚腸骨 / と畜血液 / DHA / 機能性ペプチド / 抗酸化作用 / 血圧上昇抑制作用 |
Research Abstract |
本研究は、動物性食品原料から生ずる廃棄物の中で、環境保全の立場から問題となっている魚腸骨及びと畜血液を微生物や酵素で有用資源へと変換し、それらを有効利用することを主な目的としている。今年度は、魚油を唯一の炭素源として生育する微生物として新たにGeotrichumn sp.FO347-2を見いだした。本菌を30℃、24時間培養することにより、魚油(マグロ油)1gに含まれるDHAの19.4%が、菌体内に回収されることが明らかとなった。本菌が、前年度に報告した酵母Candida guilliemondii FO726Aと同様にDHAの蓄積濃縮に有用であることが判明した。また、これら両菌体の水溶性成分が有する機能を検討した。リノレン酸を用いた酸化モデルを用いて抗酸化性を検索した結果、菌体から抽出した水溶性画分が抗酸化作用を有することが明らかとなった。10mg/mlの菌体溶液抽出物は、約50%の抗酸化作用を示した。 と畜血液の有効利用については、血液の主要成分であるヘモグロビン及びその加水分解物を用いて、血圧上昇抑制作用を検討した。ヘモグロビンを投与した自然発症高血圧ラット(SHR)の血圧の上昇は、投与しないコントロールラットのものに比べて有意に抑制されることが明らかとなった。また、ヘモグロビンのプロテアーゼによる分解物は、血圧上昇に深く関与するアンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性を阻害することが判明した。さらに、そのプロテアーゼ分解物から逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによりACE阻害活性を有するペプチドを単離し、構造を決定した。従って、ヘモグロビンの分解物は、新機能性素材として有用であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)