2001 Fiscal Year Annual Research Report
線分パターンを用いたTransparent Motionの研究
Project/Area Number |
12871013
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市原 茂 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90137018)
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Keywords | Transparent Motion / 運動知覚 / ランダムドットパターン / 透明視 |
Research Abstract |
二種類のランダムドットパターンが別々の方向に運動しているものを観察すると,あたかも二枚の透明な膜上をランダムドットが移動しているような運動印象が生じる。これをTransparent Motionという。今回は,ドットパターンではなく,ランダムに布置された線分パターンを用いて,その線分の長さと方位がTransparent Motionの生起に及ぼす影響について調べた。 線分の幅は0.64mm,長さは,1.28,32,160mmの3条件,方位は、45°x45°平行条件),45°x135°(直交条件)の2条件で、刺激の提示時間は0.3secであった。また,パターンの直径は43mmで,その輪郭線は,cos関数でぼかした。被験者は,8名で、被験者には,Transparent Motionが生じたかどうかを,"全然生じない","やや生じた","かなり生じた"の3段階で評定してもらった。その結果,線分の長さの効果に関しては,線分の長さが短い程Transparent Motionが生じやすいこと,方位の効果に関しては,線分が長くなるにつれ平行条件の方が直交条件よりもTransparent Motionが生じやすいことがわかった。 当初は,方位が異なる直交条件の方が,平行条件よりも2種類の方位検出器が関与するためパターンの違いが識別しやすくなり,その結果,Transparent Motionが生じやすくなるのではないかと考えたが,結果は逆であった。これは,方位が同じ平行パターンの方が,両パターンの識別がしやすいことを反映したものとも考えられ,方位検出器の寄与という単純な解釈は否定された。
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