2000 Fiscal Year Annual Research Report
金属箔の厚さ弁別を可能にする触感覚情報処理機構の解明
Project/Area Number |
12871014
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮岡 徹 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (00111815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 昌博 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (50233044)
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Keywords | 触覚 / 厚さ知覚 / 金属箔 / ヤング率 / たわみ / 機械受容器 |
Research Abstract |
われわれは,紙などを2本の指で挟むことにより,触覚的にその厚さを知ることができる。通常,この厚さの判断は指関節の開き角度に基づいてなされていると考えられている。しかし,10〜100μm程度の対象の厚さを関節角度によって判断できるであろうか。本研究では,非常に薄い対象の厚さを弁別する感覚情報処理機構について明らかにすることを研究目的とした。 本研究では,三つの実験を実施した。実験1では,円型リングに挟んだ厚さ8〜50μmのステンレス箔を刺激として用い,厚さの弁別閾値を測定した。実験の際,被験者は刺激を利き手の示指と親指で挟んで厚さ弁別作業を行なった。その結果,弁別閾値は5.9〜10.2μmとなり,極めて薄い対象の厚さを弁別できることがわかった。実験2では,厚さ10〜50μmの銅箔とステンレス箔を刺激として用い,銅箔とステンレス箔のどちらを厚いと判断するか測定した。その結果,例えば50μmの銅箔は30μmのステンレス箔とほぼ同じ厚さに感じられることがわかった。銅のヤング率はステンレス(SUS304)の0.6倍程度であり,このことから,被験者が金属箔のたわみの程度を手がかりとして厚さ弁別を行なっていることが示唆された。実験3では10〜50μmのステンレス箔を刺激とし,これを左右の示指で挟むことにより,厚さの弁別判断を行なった。実験の結果得られた弁別閾値は,実験1の結果とほぼ同一であった。 この3種類の実験から,(1)非常に薄い対象に対して厚さ弁別が可能であること,(2)ヤング率が厚さ判断に影響し,ヤング率が高くなると厚く感じること,(3)刺激を利き手の示指と親指で挟んでも,両示指で挟んでも,厚さ弁別閾値に差はなかったこと,が明らかとなった。特に(2)と(3)から,非常に薄い対象の厚さ弁別作業では関節角度を用いず,対象のたわみ情報を厚さに変換して判断していると推測された。 論文については,現在投稿準備中,著書は執筆中である。
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