2000 Fiscal Year Annual Research Report
萩市立図書館所蔵「秘録」の研究と萩郷土博物館未整理文書仮目録の作成
Project/Area Number |
12871050
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
渡辺 憲司 立教大学, 文学部, 教授 (00123761)
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Keywords | 秘録 / 萩藩 / 福岡藩 / 杵築藩 / 薩摩藩 / 仮名草子 / 裁判記録 / 玉里文庫 |
Research Abstract |
6月16日から17日、大阪府立中之島図書館において、西日本の地方史研究文献目録の調査を行った。これは、6月30日から7月3日まで行った、福岡県立図書館の調査並びに7月8日から、10日まで、国際日本文化研究センターで行った調査と同様に、萩藩における「萩藩秘録」研究の予備的調査であると同時に、福岡藩・杵築藩他西国諸藩の秘録関係書類の調査である。8月13日から、17日までと、9月5日から8日までの調査で萩市立図書館で、「萩藩秘録」の撮影をデジタルカメラで行った。分量的には秘録関係が約十冊(各冊約五十丁から七十丁)で、その周辺文書が40点ほどである。 又その際、薩摩藩にも同様の資料が存在することの教示を受けたので、12月15日から鹿児島で調査を行った。猶3月中にも、萩における調査を行った。 元禄年間までの秘録の翻刻作業も進んでいるが、地方資料との突き合わせに多くの時間を要し、所期の目的の半分程度に終わっている。次年度は翻刻作業にも多くの時間を割くつもりである。 本年度のもっと大きな収穫は、「秘録」同様の類似資料が、文学関係ではなく藩の公式文書として、残存していることが判明したことである。文学資料とと歴史資料の狭間をいかなる形で埋めていくかが今後の大きな課題となった。特に、萩市立図書館や鹿児島大学図書館玉里文庫に残存する近世初期の裁判記録には、巷の噂話を収集したものもあり、従来版本を中心に研究が進められてきた仮名草子研究にも大きな意味を持つものと思われる。猶萩郷土博物館の未整理文書目録の作成はほとんど進行せず、次年度の課題として残った。
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