2000 Fiscal Year Annual Research Report
戦国楚系文字資料による漢語史再構のための予備的研究
Project/Area Number |
12871052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 克也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (10272452)
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Keywords | 文字学 / 出土資料 / 楚文字 / 中国語学 / 語彙史 / 語法史 |
Research Abstract |
本研究は、出土資料の相互比較による漢語語法史、語彙史再構築を展開するための予備的研究として、正確な解読に困難の大きい楚系文字資料を取り上げ、その集成、正確な釈文の作成、資料の性格の探求、基礎的語彙の調査ならびに他地域出土資料との比較を目指すものであるが、平成12年度に行なった実績は以下のとおりである。 まず、20世紀以来今日に至るまでに出土した楚簡のリストアップを行い、約25点を検出した。これらはその発掘報告、写真、釈文等の所在を確認し、利用できる環境を整えた。次に、楚簡解読の基礎となる字釈関係論文のリストアップと、字釈の収集の作業に入った。現在収集した楚文字関係の字釈論文は約300点である。ここから、文字毎に字釈をカードに抜書きし、それを整理する作業を現在行なっている。なお、近年の楚文字解読の急速な進展に鑑み、1990年以降に発表された論文を対象とすることを、作業の方針として定めた。今年度は、各種論文集に発表された論文を対象として、作業を行なった。対象とした論文集は約25冊であり、今年度末を作業終了の目標としている。 また、以上の作業と平行して、出土資料における基礎的語彙、語法の比較研究も進めている。今年度は、未来を表す時間副詞「将」と「且」が、楚簡と秦簡において異なった分布をしていることを指摘した論文「従方言的角度看時間副詞『将』『且』在戦国秦漢出土文献中的分布」を執筆し、平成12年8月に北京で行なわれた紀念王力先生誕辰一百周年語言学術国際研討会において発表した。
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