2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12873008
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 富美子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (20017669)
|
Keywords | 公的年金 / 私的年金 / 民営化 / みなし掛金建て方式 / 401k / ハイブリッド型企業年金 / 拠出時非課税 / 貯蓄の代替 |
Research Abstract |
本年度における研究実績の概要は次のとおりである。 1.日本の場合、大胆な年金民営化よりも「なしくずし的」民営化案の方が現実的であると思われる。 2.「なしくずし的」民営化案では、公的年金の給付をいっそうスリムにする努力をして公的年金の守備範囲を限定する一方、日本版401kに対する税制支援を厚くする形でいっそう奨励し、私的年金の守備範囲を拡大していく。そのさいアメリカの401kが年間1人1万5000ドルまで拠出非課税になることを考慮する必要があるだろう。ただアメリカの場合、社会保険における年金保険料(本人分)は拠出時全額課税である。一方、日本は全額非課税である。その点の調整も忘れてはならない。さらにハイブリッド型企業年金についても可能なかぎり規制を少なくし、積極的導入を支援していく必要がある。 3.公的年金の守備範囲を限定するためには、年金給付のスライド減額や満額年金の受給要件を原則45年拠出とする、高所得者に対する国庫負担相当分の基礎年金を減額する、拠出と給付の1対1対応を可能なかぎり徹底させる(典型例はスウエーデンの「みなし掛金建て方式」への切りかえ)等が必要となる。 4.「なしくずし的」民営化をはかっても日本の貯蓄率は増大しないだろう。私的貯蓄間の代替が生れるだけだと予想される。 5.年金のなしくずし的民営化を図るさいには、ハンドリング費用を低く抑えるような工夫、投資教育、および適切な投資規制なども必要となる。
|
Research Products
(2 results)