2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12874006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宇澤 達 立教大学, 理学部, 助教授 (40232813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文広 立教大学, 理学部, 教授 (20120884)
木田 祐司 立教大学, 理学部, 教授 (30113939)
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Keywords | 一般線形群 / 保形表現 / 固有関数の境界値 / ポアッソン変換 / アイゼンシュタイン級数 |
Research Abstract |
12年度は、主に上半平面上の保型形式を考察した。群論の立場からは、GL(2)上の保形表現となる。保型形式としては、GL(2)の主系列表現から構成されるアイゼンシュタイン級数、アイゼンシュタイン級数の留数から定義される保型形式(この場合は定数関数となり、あまり興味がない)そしてカスプ形式がある。おおざっぱにいって、アイゼンシュタイン級数は、GL(1)の表現から、GL(2)へのリフトとして書け、カスプ表現は、二次拡大および、四元数体の表現から来る。四元数体の表現も、その乗法群の表現は、四元数体に含まれる二次拡大体によってさだまるので、二次拡大体によって決まるといっても良い。 本年度は主にアイゼンシュタイン級数について考察した。アイゼンシュタイン級数は、境界上の有理点全体の上に台を持つデルタ関数の和のポアッソン変換としてあらわせることがわかる。このとき、興味深いのは、境界上の関数を、連続関数の微分として書き下す方法が物理的考察から得られる点である。平面上に直交座標を考え、その上の格子点に分子が並んでいるものとする。このような平面を二つ用意し、原点を一致させて、回転させたときのハミルトニアンの変化を見る。回転角が2πの有理数倍となるときに、エネルギーは、(一列に並ぶ分子がでてくるので)ピークとなる。この関数を、円周上の関数とみたとき、その微分はアイゼンシュタイン級数となる。この結果と、二次拡大体Q(i)から得られるカスプ表現との関連を見るのは興味ある問題で、来年度の課題としたい。また、この立場から、L-関数を、統計力学に現れる分配関数と関連づけて理解するのはこのプロジェクトにとって本質的な問題であると考えられる。 なお、ハーバード大学のシュミットとイエール大学のミラーの共同研究と密接に関連することがわかった。オックスフォード大学の物理学教室のカーディのアプローチとの関連も今後の研究課題である。
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