2001 Fiscal Year Annual Research Report
調和写像の無限遠境界値問題とカルノー空間の理想境界の幾何
Project/Area Number |
12874008
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西川 青季 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004488)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 慶介 山形大学, 理学部, 助手 (10250911)
井関 裕靖 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90244409)
|
Keywords | 調和写像 / カルノー空間 / 理想境界 / 無限遠境界値問題 / 巾零リー群 / 可解リー群 / 漸近挙動 / 発散オーダー |
Research Abstract |
本研究の目的は,調和写像の無限遠境界値問題を一般の負曲率等質リーマン多様体に対して研究することである.このような空間の中で,カルノー群とよばれる巾零リー群の1次元可解拡大として得られる「カルノー空間」は,対称空間の一般化として重要なカテゴリーをなす.本研究の目標は,このカルノー空間のカテゴリーにおいて,理想境界として現れる巾零リー群上の幾何学・解析学と,内部領域として現れる可解リー群上の幾何学・解析学の相互関係を,「調和写像の無限遠境界値問題」を通して調べることであり,そのためにはまず,解として得られる調和写像の無限遠理想境界の近傍での正則性(微分可能性)を詳しく調べる必要がある. 昨年度の研究において,研究分担者・上野は,「複素双曲型空間形から実双曲型空間形への固有な調和写像で,無限遠境界まで連続的可能性をもって延びるものは存在しない」ことを証明したが,その際調和写像の無限遠境界での正則性は,カルノー空間の不変計量の無限遠境界の近傍での発散のオーダーと密接に関係することが明らかになった.今年度は,この点に関してさらに考察し,次の結果を得た. 1.定義域のカルノー空間のステップ数が,値域となるカルノー空間のステップ数よりも小さい場合(例えば,複素双曲型空間形から実双曲型空間形への場合),無限遠境界の近傍での不変計量の発散のオーダーが同じであっても,固有な調和写像の無限遠境界の近傍での漸近挙動は,その境界値から完全には決定できない. 2.定義域のカルノー空間のステップ数が,値域となるカルノー空間のステップ数よりも大きいか等しく,かつ無限遠境界の近傍での不変計量の発散のオーダーが同じである場合には,固有な調和写像の無限遠境界の近傍での漸近挙動は,その境界値から完全に決定される. 西川はこの結果を,上海で開催された国際研究集「International Conference on Modern Mathematics」において,招待講演として発表した.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Seiki Nishikawa: "Harmonic maps between Carnot spaces"Proceedings of the International Conference on Modern Mathematics. (2002)
-
[Publications] Hiroyasu Izeki: "Convex-cocompactness of Kleinian groups and conformally flat manifolds with positive scalar curvature"proceedings of the American Mathematical Society. (2002)