2001 Fiscal Year Annual Research Report
量子干渉効果を利用した励起子共鳴領域での光パルス伝播
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12874036
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 教授 (40194021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
欅田 英之 上智大学, 理工学部, 助手 (50296886)
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Keywords | 励起子 / ポラリトン / EIT / プリカーサー / 非線形伝搬 |
Research Abstract |
本研究の目的は固体中の励起子準位においてフェムト秒パルスのEITを実現させ、励起子共鳴での吸収の低下と非線形効果の増大を目指すことにある。3準位系として、基底状態|g〉、励起子状態|ex〉、励起子分子状態|bi〉を選んだ。物質としては、不均一広がりがないことと、種々の物性パラメーターが既知であるという理由から、CuClを用いた。具体的には以下の研究を行った。 1.励起子共鳴領域での非線形伝播特性の研究 :EIT効果を調べるためには、まずその効果がない場合での伝播特性を調べておかなければならない。強度の強いフェムト秒パルスの伝播なので、非線形効果が生じる。制御されたパルスと波形測定系を用いて、非線形伝播特性を系統的に調べ、ポラリトンビート、ソリトン的伝搬、プリカーサーなどを確認した。EIT効果は確認されなかったが、励起子分子の非線形分散を利用したソリトン的伝搬など、励起子・励起子分子系のコヒーレントな相互作用による興味深い現象を確認した。また、励起子共鳴領域ではビートの数が30個以上にも及ぶきれいなポラリトンビートが観測された。これによって、励起子の振動子強度や位相緩和などを正確に見積もることが可能となった。また、用いたパルスが低エネルギー側に裾を引いていたため、プリカーサーを分離することに成功した。可視光領域でのポラリトンパルスとプリカーサーの分離は初めてであり、興味深い伝搬現象を確認することができた。 2. Superluminal パルスの研究:昨年度の研究で励起子共鳴領域において真空中の光速よりも速く進むsuperluminal伝播が確認された。これのメカニズムを解明し、EITとの関連について研究を行ったが、詳細な解明には至らなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T. Kobayashi: "Photoluminescence from the even-parity state in polythiophene derivative"J. Phys. Soc. Jpn.. 70. 2517-2520 (2001)
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[Publications] J. Ishi: "Influence of exciton-exciton interactions on frequency-mixing signals in a stable exciton-biexciton system"Phys. Rev. B. 63. 073303 (2001)
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[Publications] K. Ema: "All-optical serial-to-parallel conversion of Tbits/s signals using a four-wave-mixing process"Optical and Quantum Electronics. 33. 1077-1087 (2001)
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[Publications] 江馬一弘: "有機・無機複合型物質の励起子"パリティ. 16. 12-18 (2001)
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[Publications] J. Ishi: "Time-to-space conversion of Tbits/s optical pulses using a self-organized quantum-well material"Appl. Phys. Lett. 77. 3487-3489 (2000)
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[Publications] T. Kobayashi: "Self-trapped exciton dynamics in highly ordered and disordered films of polythiophene derivative"Phys. Rev. B. 62. 8580-8583 (2000)