高温超伝導体不足ドープ相の擬ギャップ異方性に起因するバルク帯磁率異方性

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12874042
• Research Institution: Osaka Prefecture University
• Principal Investigator: 石田 武和 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (00159732)
• Keywords: V1248単結晶 / 磁気トルク計 / 4K冷凍機 / スピン密度波 / 光学的フィールドバック方式トルク計 / ピエゾ抵抗トルクセンター / 60000ガウス / LabVIEW

Research Abstract

高温超伝導体の不足ドープ相の電子状態は面白い物性を示す。擬ギャップ異方性がd(x2-y2)の対称性を持つならば、バルク帯磁率に4回対称性が現れるはずである。磁気トルクを用い、不足ドープ相の常伝導状態での4回対称トルクを探すことが本研究の目的である。今年度取り組んだことは、(1)6テスラ超伝導マグネットを用いたフィードバック方式の磁気トルク計の改良にあたった。特に磁場中バックグランドの軽減に努力した。(2)新しく、4K冷凍機、磁場可変永久磁石、ピエゾ抵抗方式のカンチレバーを用いた磁気トルク計の立ち上げを昨年に続き行った。冷凍機用コンプレッサーは本研究費より充当している。トルク装置としての初期性能の確認を行った。(3)不足ドープ相高温超伝導体として、Y1248単結晶の基礎物性(超伝導異方性、磁束格子融解)を調べた。(4)Y1236.5単結晶についても基礎物性(超伝導異方性、磁束格子融解)を調べた。(5)電子系高温超伝導体NdCeCuOについても基礎物性(超伝導異方性、磁気異方性)を調べた。Y1248単結晶で面内異方性の研究を推進したがサンプルの結晶軸を厳密に会わせるのが困難で積極的な結果に至っていない。そこでc軸異方性を介してY1248不足ドープ相の物性を調べることに集中した。その結果、磁気トルクで超伝導状態で従来知られていなかったトルクピークを発見し、その解釈として超伝導状態での40K以下でスピン密度波がたつことを予言できた。擬ギャップ領域での特異物性の関連を指摘した。また、ab面内異方性も見いだした。

Research Products

• [Publications] N.Yamamoto et al.: "Superconducting Anisotropy in Ndi_{1.85}Ce_{0.15}CuO_A4}Single Crystals"Physica C. 357-360. 298-301 (2001)
• [Publications] N.Yamamoto et al.: "Null-Balanced Torque Magnetometer in 60 kG with the Optical Feedback Circuit"IEICE Trans. Elec.. (In press). (2002)
• [Publications] M.Tsuji et al.: "Helium-free Torque Magnetometer up to 10 kG at 1.5--300 K"IEICE Trans. Elec.. (In press). (2002)
• [Publications] N.Yamamoto et al.: "Crystalline anisotropy in electron-doped superconductor Pr_{0.9}LaCe_{0.1}CuO_{4}"Physica C. (In press). (2002)
• [Publications] M.Yoshida et al.: "Anomalous Matching Effect in the Magnetization of the Triangular Microhole Lattice on Pb Film of 7.5-μm Lattice Constant"Supercond. Sci. Tech.. 14. 1166-1169 (2001)
• [Publications] T.Ishida et al.: "Vortex Observations in the Triangular Microhole Lattice on Pb Film by SQUID Microscope"Supercond. Sci. Tech.. 14. 1128-1130 (2001)
• [Publications] 石田武和他: "JAERI Review"日本原子力研究所. 7 (2002)