2000 Fiscal Year Annual Research Report
THz光を光源にした超臨界水の遠赤外吸収スペクトルの研究
Project/Area Number |
12874067
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿倉 信彦 分子科学研究所, レーザー開発センター, 助教授 (40260202)
東崎 健一 千葉大学, 教育学部, 教授 (30102031)
齋藤 健一 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80302579)
富永 圭介 神戸大学, 理学部, 助教授 (30202203)
大竹 秀幸 分子科学研究所, レーザー開発センター, 助手 (80290899)
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Keywords | THz光 / 超臨界水 / 超臨界CF_3H / 遠赤外吸収スペクトル / 純回転スペクトル / 局所密度 / 密度ゆらぎ |
Research Abstract |
テラヘルツ(THz)領域とは周波数1THz,波長300mm,エネルギー4.1meV=33cm^<-1>付近に相当する。この周波数帯域は分子の回転領域と対応しており、THz光を光源にすると純回転スペクトルの測定が可能となる。本研究では、THz光を光源とし、超臨界水の遠赤外吸収スペクトルの測定を行うことを目指している。 臨界定数の高い超臨界水(臨界温度647.3K、臨界圧力22.12MPa)の準備段階とし、臨界温度が低くかつ強い吸収を与える超臨界CHF_3を最初の試料とした。このための試料セルを設計・製作し、CHF_3の密度200倍の変化にわたる熱力学状態で測定を行った。光源には、高磁場中においた半導体InAsにフェムト秒Ti:Sapphireレーザーを照射して発生した高強度なコヒーレントTHz光、検出器に液体ヘリウム冷却のSiボロメーター、分光器にフーリエ変換型干渉分光器を用いて、遠赤外吸収スペクトルを高精度で測定した。その結果、1)密度増加に伴いCHF_3分子が純回転から束縛回転へ遷移し、この遷移が最も顕著に変化するのが相図上の気液曲線の延長線近傍、2)流体の局所密度がその線近傍において約30%程度増加、3)局所密度増加は小角X線散乱測定から得られている密度ゆらぎの極大と一致、4)超臨界流体の局所構造が、その線近傍において気体的-液体的領域に2分される、などが明らかになり4つの国際会議での発表および学術論文3つという成果が得られた。現段階で、THz電磁波を用いて超臨界流体の分光測定を行っている研究者は、世界的にみても申請者らのグループだけである。本年度の経験と成果を基に、来年度はさらに過酷な測定条件となる超臨界水の測定を行い、複雑な超臨界水の構造を明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Saitow: "Supercritical - fluid cell with device of variable optical path length giving fringe - free terahertz spectra"Review of Scientific Instruments. Vol.71,No.11. 4061-4064 (2000)
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[Publications] 大竹秀幸: "テラヘルツ電磁波の発生と分光への応用"化学総説「超高速化学ダイナミクス」フェムト・ピコ秒領域の化学. No.44. 20-29 (2000)
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[Publications] K.Tominaga: ""Advances in Multiphoton Process and Spectroscopy" 中の一章を部分執筆"World Scientific. (2001)