2000 Fiscal Year Annual Research Report
マルチレドックスを有する金属錯体の会合性混合原子価状態と共役機能
Project/Area Number |
12874090
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
彌田 智一 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90168534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 未知雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80295477)
阿部 二朗 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70211703)
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Keywords | 機能性イオンラジカル / 多段階レドックス / ナノ組織体構造 / β-ジケトン / ピリジニウム基 / スピン分極 / 強磁性的相互作用の配置 / 分岐型デンドロン |
Research Abstract |
本研究では、光電気化学的にレドックス制御できる機能性イオンラジカルを強い相互作用のもとに共役組織化し、その組織体構造と多段階レドックスの相関関係を理解するとともに、イオンラジカル生成の光電気化学的制御を応用した刺激応答性の分子磁性及びナノ組織体構造の発現を目的としている。 β-ジケトンは様々な金属との間にπ共役系を有する6員環構造の錯体を形成する。この特徴に着目して、β-ジケトンの共役組織化インターフェースとしての利用を検討した。配位子ではピリジニウム基の2段階の、亜鉛錯体では4段階の可逆的酸化還元反応を確認した。この挙動は、エノレート構造を介した配位子内及び中心金属を介した配位子間の相互作用を反映している。Ni錯体のDPVでは、4本に分裂した明瞭なピークは観測されないものの、2本のブロードなピークが観測されることから、金属を介した配位子間の弱い相互作用の存在が示唆される。電解吸収スペクトルにおいては、錯体の4電子還元体生成過程が段階的に確認された。還元体生成に伴って現れた吸収帯は、各還元段階で等吸収点をもちながら変化することが確認された。特に、各ピリジニウム単位が奇数個の原子を介してリンクしてるため、スピン分極から強磁性的相互作用の配置となる。配位子の2電子還元体において3重項、また金属錯体の4電子還元体において5重項が期待される。一方、長鎖アルキル基を複数持つ分岐型デンドロンを置換した金属錯体においては、透過型電子顕微鏡によりカラム状のナノ組織体構造が確認された。今後、光電気化学的レドックス過程を利用すれば、周辺電荷数の変化によるナノ組織体構造の制御が期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松下未知雄,彌田智一 他3名: "Intramolecular Magnetic Interaction of Phenylene-linked Bis-beta-diketone Metal Complexes"Chem.Lett.. 2000. 812-813 (2000)
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[Publications] 伊藤慈英,彌田智一 他2名: "Poly(benzo[c]thiophene-2-oxide) Thin Film"Synth.Metals. 114. 235-242 (2000)
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[Publications] 河野正規,阿部二朗 他2名: "In Situ Observation of Molecular Swapping in a Crystal by X-ray Analysis"Chemi.Lett.. 2000. 1372-1373 (2000)
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[Publications] 金澤昭彦,阿部二朗 他1名: "Polar Thin Films Produced by Phosphonium Liquid Crystals : Two-Diemensinal Self-Assembled Ionic Layers with Spontaneous Polarization"Angow,Chem.Int.Ed.. 39. 612-615 (2000)
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[Publications] 松下未知雄,彌田智一 他2名: "Metal Coordination Complexes composed of Photo-Electrochemieally Active Ligands"Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 343. 87-96 (2000)
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[Publications] 鎌田香織,彌田智一 他1名: "Anion-controlled Redox Process in a Cross-linked Polyviologen Film Toward Electrochemical Anion Recognition"Langmuir. 17. 155-163 (2000)