2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム塩基配列情報に基づく遺伝子機能領域の数量的解析
Project/Area Number |
12874104
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 埼玉大学, 理学部, 教授 (40154075)
|
Keywords | 葉緑体ゲノム / シアノバクテリア / ゲノム情報解析 |
Research Abstract |
1.ゲノム遺伝情報の計算機を用いた解析のために開発したソフトウェアSISEQについて,機能を増強する改良を続けた。 2.SISEQライブラリをベースとして昨年度に開発したソフトウェアを用いて,葉緑体とシアノバクテリアのGC skew解析を行った。これは多くの細菌では,きれいな折り返し点を生じ,複製起点を推定するのに有効とされているが,シアノバクテリアSynechocystisとAnabaenaのゲノムおよび葉緑体ゲノムのいずれにおいても,単純なプロットが得られず,複製起点の推定は難しかった。シアノバクテリアとその未裔である葉緑体のゲノムの複製の機構が,他の細菌とは異なる可能性も考えられる。 3.シアノバクテリアのいくつかのゲノム配列が公開されたため,これにあわせて,比較ゲノム解析を行った。Anabaena,Nostoc,Synechocystisの3種の間で共通して存在する遺伝子の種類を,BLASTプログラムの出力から比較的緩いカットオフ値を用いて推定した結果,1343グループのタンパク質遺伝子が3種に共通であること,それぞれの種に特有の遺伝子グループが25%程度存在すること,AnabaenaとNostocに共通する遺伝子グループが800グループあること等がわかった。さらに,3種に共通なもののうちで,他のシアノバクテリアや植物にも共通なものが511あったが,そのうちで238グループは非光合成生物も含めて共通なものであるので,光合成生物に共通なのは273グループであった。 4.2年間の研究により,シアノバクテリアから葉緑体に向けての進化に関して,情報科学的な解析が進み,その成果をいくつかの論文として公表した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 佐藤直樹: "生物系研究室における遺伝情報解析のためのUNIX環境の構築.MacOS XとLinuxを用いて"蛋白質核酸酵素. (印刷中). (2002)
-
[Publications] 佐藤直樹: "プラスチド核様体の分子構築・機能の多様性とゲノム装置の不連続進化仮説"生化学. 74. 27-37 (2002)
-
[Publications] M.Ohmori, M.Ikeuchi, N.Sato, 他: "Characterization of genes encoding multi-domain proteins in the genome of the filamentous nitrogen-fixing cyanobacterium Anabaena sp.Strain PCC 7120"DNA Research. 8. 271-284 (2001)